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ツイテルンデス 9話
「琳で抜いてただろ?」
ひやっ!!小麦、おまっ、ちょ、何、何?何言って?
小麦の突然の言葉に田代は顔を上げた。しかも、真っ赤!!
抜いてたんかい?俺で………
顔に抜いてました。と書いてある。
「な、なんだよ!いいだろ!別に誰をおかずにしようと」
開き直る田代にチッと舌打ち。
「頭痛って、寝ている時にくるのか?」
舌打ちした後に田代に聞く。
田代は頷く。
「昼間も琳の夢見てたか?たとえば……琳を抱く夢」
ぎょぎょぎょ!!何言い出すねん。
田代はどうやら嘘つけないタイプみたいで、耳まで真っ赤だ。
「な、なんで、わかんだよ?」
小麦は無言でゴミ箱を指さす。
「うわあ!」
慌てる田代。なに?何慌ててんの?
キョトンとする俺。
「抜いたんだろ?」
小麦の容赦ない突っ込み。
どひゃーーー!!マジすかあ!!
田代はもう、茹でだこ。
「なん、なんなんだよ、お前は!!なにしにきたんだよ?自慢か?俺がリンちゃんで抜いてるから、リンちゃんが恋人だって自慢しにきたのかよ!」
むっちゃキレる田代。
つーか、俺でマジで抜いてのかよううう!
「それもある。」
アッサリ認める小麦。
……こ、小麦……おまえ、火に油かよ!
「徳川!!」
田代がいきなり小麦の胸ぐらを掴む。
「ちょ、やめ!」
慌てる俺。
でも、小麦は田代の手首を握り、掴んだ胸ぐらからゆっくりと離させた。
「いたっ、徳川!バカ力」
痛がる田代。つーか、小麦すげえええ!!
「お前のせいで琳が怖い思いしてんだよ」
手首を掴んだまま、そう言う小麦の目が怖い。
「な、なんだよ?好きになっただけだろーがよ!」
田代は少し怯みながらも文句を言う。
「ちげーよ、お前が飛ばしている生霊のせいだよ」
「はい?」
またまた、田代と俺の返事がかぶった。
「あんた、生霊飛ばしてんだよ。頭痛もそのせい」
田代固まる。
俺も固まる………
生霊ですか?
「琳の夢の中にも入り込んで……悪さしたろーが!」
小麦は俺のシャツを掴み、ぐいっと襟元をずらす。
田代はずれたヶ所をガン見。な、なんか目がギラギラしてないか?
「このキスマークは俺じゃない。自分がつけた場所は覚えている」
えっ?ええっーーー!
きききき、キスマーク?ですと!!
「きす、キスマーク?えっ?」
テンパるおれ。
「琳は黙ってろ!ちゃんと説明するから」
な、なんか小麦に叱られた。くそう!
俺は大人しく話を聞く。ああ、聞いてやるさ!
「琳は夢でお前に襲われたと言った。確かに眠っている琳は誰かに触られてた。キスマークが肌に浮かんできて、琳がうなされはじめて、泣き出したんだよ。お前だろ!琳を襲ってキスマークつけたの」
「なに……いって……」
田代は困惑したような顔をしている。
まあ、そうだよな?そうなるよな?
生霊とか、夢とか………
「覚えてんだろ?それで抜いたんだから」
「あ、あれは夢だ………夢だった。」
田代は俺を見つめ、
「夢でリンちゃんを電話で呼びだした。鈴木先生の声色、俺上手いからさ……夢の中だから、なんでも思い通りになるって、夢の中でそう思って………学校にきたリンちゃんを部室で組み敷いた。……リンちゃん嫌がって泣いてて、それもそそったから、キスマークもそこにつけた。徳川のつけたキスマークの側にわざと……夢だろ?あれは?」
田代は俺と小麦を交互にみる。
田代が話す夢の話は俺が体験した話と同じ。
「アンタの生霊が琳を襲ったんだよ。」
田代は固まったまま、俺をみている。
「人は無意識に生霊飛ばすんだ。すごく強い思いを抱いている時に……その時は頭痛がくる。偏頭痛とか、事故で熱だしたとか思い込んでいるけど、違う。」
「確かに頭痛はいつも、リンちゃんを思う時にきてた」
田代は目を伏せる。
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