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ツイテルンデス 10話
田代……信じるのか?小麦のいう事。
「前にもあったんだ。中学の時……おれ、担任の先生が好きで、先生を思う時に必ず頭痛がきて、次の日、先生から、お前昨日ウチきたよな?とか家に居たのにアチコチで俺を見たって……それもそうなのか?」
田代は小麦を見ている。
「そうだな。生霊だ」
「じゃあ、リンちゃん……抱いたのは夢だけど……夢じゃないって事?」
ちょ!!まて!!お前に抱かれてない!!
「いやいや、夢だから!!」
俺はブンブンと頭を振る。
「でも……リンちゃんの夢の中入ったんだよね?あの時は想像だと思ってた。リンちゃんの身体どんなんだろう?とか……どんな顔してイクのかな?って」
ぐわあ!!なに、具体的に話してんだよ?
「してない!してないから!現に俺は何も感じてない!」
必死に叫ぶ。
「でも、俺はイッた……妄想の中でリンちゃんの中に出した」
ガツンっ!!
また、鈍い音。
「だーかーらー、殴るな!しかも!グーで」
頭を押さえながら小麦に文句を言う田代。
「ちょーしに乗んな!!所詮は妄想だ。」
ガツンと殴られ、ガツンと言われる田代はなんだかションボリしてみえる。
「俺………生霊また、飛ばすのかな?」
不安そうな田代。
「それはもうない。自覚したから」
小麦はキッパリとそう言った。
「自覚したら飛ばない。頭痛ももうしない」
「ほ、ホント?」
「本当だ。ここに来たのも自覚させる為だったから」
小麦に言われ、田代はホッとした顔をする。
「じゃあ、用は済んだから帰る」
おもむろに立ち上がる小麦。
慌てて俺も立ち上がる。
「も、もう帰るの?」
何だか寂しそうな田代。
「琳に帰って欲しくない?でも、置いていかない。食われるから」
小麦は俺の肩に手を回し抱き寄せる。
「ちえっ、本当に付き合ってんだな」
「付き合ってる!だから、琳には手を出すな!そして、俺達の事を言いふらしたらタダじゃおかない」
釘を刺すような言い方。
「す、するわけねーだろ?そしたらリンちゃんが首になるし、学校であえなくなる!それは嫌だ」
「先輩ならそう言うと思った」
小麦は俺の肩を抱いたまま、田代の部屋を出た。
◆◆◆◆
「これでもう、襲われない」
外に出て、横並びに歩く。
「あ、ありがとう」
小麦にとりあえず、お礼を言う。
助けて貰ったんだもんな。
「どういたしまして」
ニコっと微笑む小麦。
「生霊とか……あるんだね」
「あるよ、言霊っていうのもあるだろ?」
「うん、知ってるけどさ……でも、夢の中に入り込んでるとかさ」
「田代の姿見てたんだよ、鏡に映ってたり、色々とね。今日追いかけたらにがして、戻ってくると琳がベッドで眠ってて、喘ぎ声だしてたからさ、焦った」
ひやっ!!喘ぎ声ですとおおお!!
「しかも、小麦の馬鹿とか、助けろとか言って泣いてるしさ」
うわあ!もう、聞きたくないいいい!!
俺は両手で両耳を塞ぐ。
「揺すっても起きないし、キスマークが浮き出てくるし……で、小麦がいいって」
小麦は俺の片手を掴み、耳から離した。
「何がいいんだ?」
ニヤリとして、聞いてくる。
ぎゃーーー!言えるわけないだろううう!
「わ、忘れた!!」
俺はソッポを向く。
「琳……何も感じなかったって言ってたけど、その理由教えてやろうか?」
ソッポを向いた俺の耳元で囁く。
「うん、教えて!」
俺は小麦の方を向く。
「未経験だからだよ」
「へ?」
「琳がまだキスしか経験してないから。それと、俺に吸われる体験しかしてないからキスマークは浮き出てきた」
「は………いいいい?」
俺の声は裏返る。
「コックリさんと同じ原理。コックリさんってさ、自分の知らない知識を質問すると動かないんだよ。動かしているのは自分達だから」
そ、その話は知っている。
それと、同じ?
「経験してない事は空想の中では想像でしかない。田代も未経験だから、琳は目の前でオナっている奴を見せられただけ」
フフフと笑う小麦。
「セックスは未経験だろ?琳は」
ぐわっ!!!
やめろ!!!恥ずかしいだろううう!
「夢の中で死なないのは体験した事ないからだよ。だから、琳は何も感じなかったんだよ?入れられる痛みや快楽を知らないからさ」
「ば、ばか!小麦のばか!!」
そんな事、外で言うなよなあ!!
「じゃあ、体験する?」
小麦は俺の手を握り歩きだす。
ふえ?えっ?なに?
体験?ちょ、まって!まって!
「小麦!!待ってよ!」
俺は引っ張られるように歩く。
「俺がいいんだろ?」
「はい?」
「襲われるなら小麦がいい。初めてなら小麦って琳が言ったんだぜ?」
ニヤリとする小麦。
あーーーーー!!
「知って!!」
こいつ、知ってやがる!
「ぜーんぶ、きいた。」
ニヤニヤする小麦………腹立つ!!
「わざと聞いたな?」
「もちろん!」
小麦は握る手に力を入れる。
「俺も琳がいい。琳を抱くのは俺がいい。」
そう言った小麦はニヤニヤしてなくて、真顔。
また、冗談を?
って言いたいけど、真剣な目がかっこよくて、俺は見惚れてしまってた。
不覚!
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