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カクゴデキテルンデス2話

弁当を食べていると小麦がハッと何かを探すようにキョロキョロし始めた。 「どうしたの?」 卵焼きを食べながら聞く。 「……なんか……気配がする」 「えっ!ええ?何?何かいるの?」 俺は慌ててキョロキョロ。まあ、見えないけれど。 「近くには居ないみたいだけど……」 小麦はまだ、どこかを見ている。 ……小麦、大変だな。こうやって他の人には見えない何かが見えてしまってさ。辛く……ないのかな? 子供の頃から見えてたのかな? 俺がそうだったら、気が狂ってたりしたかも。 急に風が吹く。ホコリが目に入りそうだったから、とっさに手でガードしたもんだから、バランス崩して弁当を落としそうになる。 弁当は小麦がキャッチしてくれたけれど、弁当箱の下に敷いてた包みがフワリと風に舞った。 嘘おおお!! 捕まえようにも、次の風が吹いて包みを空高く舞いあげて、フワフワとフェンスの向こうに。 ええっ!!と思っているうちにフワフワと下へ落ちて行った。 「わあ!ごめん小麦!小麦のバンダナ」 弁当を包んでいたのは小麦のバンダナ。 「いいよ、後で探すから。それより食べないと昼休み終わるよ?」 小麦の言葉で俺は弁当を食べ始める。 後で探そう。心で誓う。 弁当を食べて、昼休みがもうすぐ終わるから戻ろうと入口へ小麦と行く。 ドアを開けようとすると「琳」と呼ばれて振り向くとチュッとキスされた。 「こ、小麦いい!!」 「顔真っ赤」 クスクス笑う小麦。いきなりチュウとか心臓に悪い。 「だ、誰かに見られたらどーするんだよ!」 「誰もいないじゃん?」 小麦は慌てる俺の横を余裕な顔で通り過ぎると「ほら、次の授業」と微笑む。 くそー!!なんだその余裕。俺が年上だぞおお!! 「い、行くし!」 俺は小麦の前を無理やり歩いた。恥ずかしくて顔を見られたくない。きっと、顔が赤いから。 まさか、そのキスを見られているとは思いもよらずに。 ◆◆◆ 屋上から出て、階段を降りた直ぐくらいに「あ、林田先生!」と鈴木先生が声をかけてきた。 「は、はい。なんでしょう……」 キスしたところを見られた感覚なように顔が熱くなる。 「特別教育実習生が来るんですよ、なので職員室へ」 「えっ?こんな時期にですか?何人くらい?」 「1人です」 「へ?1人?」 普通は数人くるのに1人? 「結構イケメンですよ」 その情報いるのか?と突っ込みたかった。 「じゃあ、職員室に行ってて下さい。俺は視聴覚室に用事あるので」 鈴木先生は視聴覚室へと歩いて行った。 「実習生ね」 小麦が階段から降りてきた。 「あれ?」 そう言えば小麦降りて来ていると思ったのに。 「足音したから、階段の上に留まった。降りなくて良かった」 凄いな小麦って。俺なんて足音に気付かなかった。 「まあ、見られても相談に乗って貰ってたとか言い訳たくさんあるけどね」 小麦は俺の頭をポンと叩いて「琳に迷惑かけないようにしないと、困るのは琳だし……」優しく笑う。 ほわっ!!なんだこの少女漫画に出てきそうな王子様系は!! 「琳?……職員室」 目の前にチラチラと手のひらが揺れてハッとなる。何……見とれてんだよおお小麦だぞおお!! 「い、いくし!」 俺は歩き出す。ドキドキとかしてないし! 「琳、そっち視聴覚室だよ?」 「あっ……」 くるりと向きを返る。 クスクス笑う小麦の横を通り過ぎて、職員室へと向かう。

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