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カクゴデキテルンデス 3話
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職員室に行くと長身の見慣れない男性が立っていた。
後ろ姿だけでもなんかすごいオーラがあって女性職員室の皆さんの目がハートというか顔も赤いから鈴木先生が言ってたイケメンというのは本当なんだろうなあって思った。
「あ、林田先生」
俺に気付いて名前を呼ばれた。その声で後ろを向いていた男性がこっちを見た。
ひゃあああ!!イケメンですやーーーん!
振り返る姿はまるで映画かドラマのワンシーン。
そこだけスローモーションになって視聴者の心を鷲掴みにする重要なシーンみたいに見えた。
アイドルというかイケメン俳優がそこに立っているようで、新人俳優がドラマの配役の為に見学にでも来ているのかな?とさえ思えるくらいのイケメン。
「こんにちは。初めまして……林田先生ですか?」
男性はニコッと微笑んだ。
まるで花が咲き誇る……そんな感じに。きっと、彼の周りには薔薇の花びらがチラチラ舞っているに違いない。
「林田先生?」
綺麗な顔が間近にあって驚いて後ろに思わず下がる。
「先生ってばもしかして見とれてました?」
クスクスと他の先生達に笑われる。
「ち、違います!!」
慌てて否定したけれど、見とれていたのは間違いないのだ。
「今日からお世話になります、ここのせです。漢字は九重って書きます」
九重と名乗った男性は深々と頭を下げた。
「は、はい!よろしくお願いします」
俺も慌てて頭を下げる。
「もう、リンちゃん先生ってば可愛いんだから」
何故かクスクス笑われる俺。何でだ?普通に挨拶しただけなのに。
「リンちゃん先生?」
九重さん?くん?がリンちゃん先生と呼ばれたので不思議そうに首を傾げて聞いている。
イケメンは首を傾げても絵になるんだなあ。
「林田先生の下の名前、琳って言うんですよ、先生っていうより、なんか生徒みたいで可愛いでしょ?童顔だし、なのでリンちゃん先生って呼ばれたりしてるんです。生徒も呼んでますよね」
余計な説明をする女性教員をちくしょう!!と睨むけれど伝わらない。
「へえ、なんか親しみやすくて良いですね。琳って名前もピッタリですし、僕もリンちゃん先生って呼びたいけれど先輩ですもんね」
俺にニコッと微笑みかけてくる。しかも先輩とか!!俺を先輩ってえええ!
九重、良い奴だ。
「リンちゃん先生のクラスで実習して貰うそうですよ」
「は?」
俺は真顔で聞き返す。だって、俺が1番ここでは下っ端というか、俺だって新人に近いのに?鈴木先生とか他にベテランいるのに何で?
「よろしくお願いします林田先生」
ニコッ微笑む九重。
俺より背が高く。多分、小麦くらいか?
綺麗な顔立ちに目の色が少し金色っぽい。俺と同じ、外国の血が混ざってるのかな?と思った。
髪の色も黒に染めている感じがする。
そして、ふと、どこかで会ったような感じもした。
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