64 / 67

カクゴデキテルンデス 4話

◆◆◆ 「林田先生、チャイム鳴っていますよ?」 九重(年下なので呼び捨て)の声でチャイムに気づく。 やべえ、生徒にまたイジられるやん! 「じゃあ、教室案内します」 俺は彼と一緒に教室へ。 教室に入ると想像通りザワつく。 「リンちゃん先生、誰すか?そのイケメン!!」 やはり男の子から見てもイケメンなのか。 「実習生の九重先生だ!それよりもリンちゃん先生って呼ぶの止めろ」 「えー、だってリンちゃん先生って呼びやすいじゃん」 「可愛いしいいじゃん!」 好き勝手に色々言い出す生意気な生徒達。 これじゃあ俺が生徒に舐められていると九重に思われちゃうじゃんかよおお。 なんとかせねば!と思った瞬間。 バンッ!!と物凄い音がして教室が一斉に静かになった。 音がしたのは後ろの方で小麦が怒ったような、真顔で机を叩いたようだった。 クラスの生徒達は小麦にちょっとビビっているとこもあるのでからかっていた生徒が借りてきた猫みたいに 大人しくなった。 ありがとう小麦。 ……って、自分でなんとかしなきゃならんのに情けない。 でも、小麦のおかげで授業はちゃんと出来た気がする。 チャイムが鳴って、クラスを出ると後ろから着いてきている九重に「机をバンッてした子がクラスのリーダーですか?」と聞いてきた。 「こむ……あ、徳川?うん、そうだね一目置かれているかな?」 「迫力ありましたね。それにカッコイイし」 うひゃ!!と思った。 イケメンが小麦をイケメンという。やはり小麦もイケメンなのだなと何故か嬉しくなった。 「あれ?なんか嬉しそうな顔していません?」 俺の顔を覗き込む綺麗な顔。 な、なんて勘の良い奴なのだ。 「え?そんな顔してる?」 笑って誤魔化す。 「林田先生って笑うと凄く幼くなるんですね」 「はひっ?」 突然の言葉に変な返事してしまったじゃないか。 「リンちゃん先生って呼ばれるのわかる気がしますね。綺麗で可愛くて……優しい雰囲気ありますし、生徒に好かれている」 「ば、ばきゃろう!!いきなり変な事言い出して」 俺は褒められるのが苦手なのだ。 「あはは、顔赤いですよ?褒められるの苦手ですか?」 笑いながらに言われる。こいつ、本当に勘が良い。っていうか顔に出ているのかな? 「リンちゃん先生って呼びたくなるくらいに可愛いですね」 ああ、俺ってこうやって直ぐに格下に見られちゃうんかな?実習生にまで俺はからかわれちゃうんだ。 「お、男に可愛いとか言うのは失礼だからな!」 俺はビシッと言ってやって先を歩き出す。 「先生!」 後ろから腕を掴まれて驚いて振り向く。 「あの、怒らせてしまいました?そんなつもりはなかったんですけど。ただ、本当に林田先生が綺麗で可愛いから」 九重は真顔だ。真顔でそんな事言われると照れるというか、なんか、ドラマのワンシーンというか明らかに俺、ヒロインみたいな感じやないか? 掴まれた腕を振り払って「べ、別に怒っていないし、それに俺は可愛くも綺麗でもないから」と大人な感じで言ったつもりなのだが、どもるし、顔見れないし挙動不審である。 「いえ、綺麗ですよ?林田先生は」 俺の前に綺麗な姿勢で立ち、真剣な顔で見つめてくる九重。 や、やめろよおお!!なんかマジでヒロイン位置やんけええ。 「か、からかうな!ばーか!!」 って俺は捨て台詞を吐いて逃げる事になる。 俺の馬鹿!いくじなし!!

ともだちにシェアしよう!