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ミエルンデス 2
◆◆◆◆◆
天海先生から事情を聞いた。
いつも俺が乗っている電車がトラックとぶつかり脱線。
たくさんの怪我人と、最悪な事に亡くなった人もいるとか。
その電車にはウチに通う生徒や先生も乗っていたので、確認で大変とか。
俺がぶっ倒れてる間にそんな大変な事になっていたなんて……あ、俺のクラス……生徒は無事?
「天海先生、俺のクラスは?」
「鈴木先生が居るから大丈夫ですよ。」
俺のクラスって言っても俺は副担任。
鈴木先生が担任なんだよな。
「俺もいきます!」
ベッドから降りるけど、ちょっとふらつく。
「まだ休んでた方が?」
天海先生が側にきた。
あまり側に来て欲しくない………なんせ、天海先生は女性なのに背が高い。
俺より………くそう!どうせ170ないよ!
「小麦ちゃんが心配しちゃいますよ。なんせ、連れてきた時はかなり心配してて、ずっと着いてましたから」
うっ……そうなのか?
徳川……俺についてたのか?
「それに……ふふ、」
意味ありげに笑う天海先生がなんか怖い。何笑ってんだこの人。
「なんすか?」
「さっき、寝ぼけて小麦ちゃん触りまくってたでしょ?顔とか身体とか……股間とか」
はっ?
股間とか………って今いいました?
股間って股の間ってやつ?
徳川は男。股の間には何がある?
………ちん………
「まじすか!」
俺は叫んだ!
「だから小麦ちゃんに手を掴まれてたんですよ」
はあああっ?
「まじすか!」
もう一回叫ぶ。ウソやん!
「まじっすよ!そりゃあ、もう!もみもみと……小麦ちゃん今頃トイレかもね」
ニヤニヤ笑う天海先生。
いや!セクハラ!
不味い……徳川に顔合わせられないじゃんか!
◆◆◆◆◆◆
とりあえず教室に行こうと保健室を出た。
「また、来てね」
とか言われたけど恥ずかしくてしばらくいけない!!
股間触ってたとか、触ってたとか!大事なので2回言ったけども。
生徒にセクハラかあ。訴えられたらどーしよ!
トボトボと階段を上がり、教室へと向かう。
「あ、リンちゃん無事だったんだ!」
廊下にいた数人の生徒が近付いてきた。
あれ?授業だよな?
って、一瞬思ったけど、事故起こってそれどころじゃないのかな?
いや、それよりリンちゃんって毎回毎回呼びやがって!
俺は先生だっ!つーの!
「林田先生だろ!鈴木先生やみんなは?」
「鈴木先生なら俺らに早く帰れって言って職員室に戻ったよ?リンちゃんは電車乗らなかったんだ?」
リンちゃん……くそ、スルーか!
「チャリできたんだ」
「へえ、いつも電車なのに……今日にかぎって凄いなリンちゃん」
「だから、リンちゃんって呼ぶな!」
「はいはい、リンちゃんも一緒帰らねえ?」
生徒の1人が肩を組んできた。
「いやいや、俺…先生だし!」
「リンちゃんはこの学校の誰よりも制服似合うじゃん?」
肩を組んできた野郎は俺よりもデカイ。
くそ、何食ったらこんなデカく……いや、俺が小さいだけか?170ほしかったなあ。
「ほら、リンちゃん凹んだじゃん!」
生徒の1人がそう言った。
へこんでないし!
「もういいから帰れよ」
生徒から腕を払おうとするけど、はなしてくんない!くそっ!
「林田先生、鈴木先生が呼んでる」
真後ろから声がして、生徒の手を掴んだソイツは……と、徳川やん!
徳川小麦がいた。
くそ、小麦って名前のくせにデカイ。
186センチとか誰かに聞いた。
大麦やんけ!
「それに、林田先生だろ?リンちゃんじゃなく?」
低い声で言う徳川。しかも、真顔。
コイツは顔が整っているから黙ると妙な迫力があるんだ。
だから、「わるい、林田先生。先生が可愛いからさ」と素直にいう事をきく。
俺が散々言ってもダメだったのに。
先生の威厳なし!
「ほら、先生、いこう」
徳川は俺の手を掴み歩きだす。
えっ?えっ?
なんで、俺を引っ張って歩くんだ?
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