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※2.5-8

「ひ…ぅ、あっ、…ッ」 「ゆっくり息して…泣くな、大丈夫だから」 大きな手が落ち着かせる様に頭を撫でた。酸素を取り込む事すらやっとの状態で、必死に相手の首に縋り付く。 痛みとか苦しみとか快楽だとか色んな感覚が一挙に押し寄せ、容赦なく下腹部から全身を這い回る。 噴き出した汗を掬う様にダンが口付けた。 ダンの手が背中に回り、抱き締められた。肩口に額を押し付け、ブラックウェルはやがて始まった律動に最早生理的な涙を零す。 「ぁ、やあっ…あ、あ、ッダン…や…っ、!」 泣きそうな喘ぎを漏らしながら、眉根を寄せて目の前の男に助けを求めた。 熱い塊が何度も奥を突いて、その度に湧き上がる快感に頭が可笑しくなる。痛みなんて、何時の間にか消え失せていた。 大きな手が頬を捉えた。熱に浮かされた指先が唇に触れ、次いで口を塞がれて舌が絡み付く。互いの認識票が音を立てた。 視界が開けて朦朧とした頭で見上げた時、部下の表情にぞくりとした。 獰猛な獅子を彷彿とさせる、昂ぶりに鉛の如く鈍く光る瞳。それがただ一点、自分だけを射抜いて、見詰めて追っている。ダンの首元を一筋の汗が伝う。 呼吸の音が僅か、早くなる。 「少尉」 首筋に緩く噛み付かれた。 律動が早まり、耳元で響く低音にブラックウェルはもう、意識を保つので精一杯になった。 消え入りそうな嬌声を漏らしながら、襲って来た表現のしようもない快楽に思わず顔を覆った。 頬は熱に浮かされ、涙で濡れて、必死に律動に犯されながらブラックウェルは懇願した。 「っダン、ぁっ、…ッやめ…ん、ぅ…」 「…どうしました」 「い…ぃっ、…ちゃ、ぁッ…!」 目の前の痴態に、部下は瞳の奥の獅子を覗かせて笑んだ。 「いけよ、マリア」 壊れそうな身体がびくりと痙攣する。 ダンは抱き締めて、一際奥を熱で突き上げた。 火花が散り、断崖から突き落とされた様な逃げ場の無い激流に支配される。 唯一縋れる物に掻い付く、ブラックウェルの思考は零に落とされた。 >next, chapter.3

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