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負傷者の搬送と後処理に追われ、戦闘後の一種独特な喧騒に包まれる正午。 ブラックウェルは報告も兼ねて連隊本部に赴き、灯火管制のテントを開けて脚を踏み入れた。 オックスフォードは司令部からの手紙に齧り付いていた為、ブラックウェルは凡その話を傍らに居た副隊長に済ませた。モーズレイは何か、部下の顔を暫く見やって眉を顰めた。 「ブラックウェル…お前、その怪我は一体全体どうした」 「殴られました」 「そりゃ見たら分かる」 呆れた副隊長が続ける前に、オックスフォードが背後で大仰なガッツポーズをして叫んだ。上司の奇行には慣れっこのモーズレイは、怠慢な所作で後ろを振り返る。 「大佐、今度は何があったって言うんです」 「なんと素晴らしいニュースだブライアン!我が師団の優秀な司令は降伏勧告によもや、一言、“糞食らえ”だと!」 「何ですって?こっちにはもう飯も弾薬も替えの靴下すら無いんですよ」 顔を覆って嘆く副隊長を余所に、オックスフォードは大喜びだった。 指令のお陰で506連隊はその後血みどろの戦いに放り込まれ、然れど4日後には駆け付けた装甲師団の助力で敵軍の包囲を突破した。 クリスマスも銃弾に晒され続けた彼らだが、年も明けると拠点の街を陥落させ、やがて戦線を離れて川沿いの防衛任務に就いた。 久方振りに青年たちは酒を飲み、手料理を食べ、カードゲームに興じ、羽目を外して上官に怒られた。 バスティアの森から帰還してからの比較的穏やかな毎日に、やがて皆が漠然と終戦の兆しを感じ取り始めていた。 その日、ダンは友人のジャスティンとサムに酒屋への誘いを受けた。 なんて五月蠅そうな顔ぶれだと眉を寄せたダンの予想通り、着くなり既に飲んでいた2人はそれはもう、些細な言い間違いですらゲラゲラ笑う始末だった。 しかし戦争が終わって除隊されれば、こうして席を囲む事も難しくなるだろう。酒屋にはそんな哀愁からか、仲間と飲み交わす兵士らで溢れていた。 「そういやダン、お前の想い人はどうなった?告ったか?」 「は?」 ダンは危うく噎せる所だった。 楽しそうなジャスティンを睨め付け、努めて平静な声で問うた。

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