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「どうして庇ったんだ」 心からの叫びを、悲痛な声で漏らした。 細い指先に自分の物を絡めて、力を込めた。 何か差し出す事で救えるのならば、戸惑い無く全てをくれてやれた。 「俺を置いて行くな」 身勝手な台詞を吐いた。 その唇をもう一度開いて、幾らでも文句をくれと懇願した。 一番最後に此方を見ていた、蕩ける様なヘーゼルの輝きが蘇る。 真っ直ぐに見た、息を飲む程の。 何か、伝えようとしたのか、動いたその口が。 鮮血を零して、真っ赤になって。手を伸ばして、 崩れた。身体は冷たく、 場違いな日差しが降り注ぐ。 抱き上げた重みの無い体躯に、一言、心に湧いた感情が身を切り裂いた。 「お前が居なくて、どうしたら良い」 堰を切って何もかもが溢れだす。血の巡らない手を握り締めて、視界に闇が立ちこめて縋った。 「――…何とか言ってくれ、…マリア…ッ」 この指先に温度が戻って、もう一度瞳に己を映すのなら。 口元を綻ばせて目を細めて、仕方無さそうに言葉を返してくれるのなら。 もう、他には何も要らない。 指先に唇を寄せて、確かに今、神に誓って、この想いを。 上も下も無い空間を彷徨っていた。 しかしそんな気がするだけで、実際は目を瞑ったままで、今漸く視界が開けて認識した。 頭が酷く朦朧とする。 正直、まともに思考が回らない。何だか夢の中に酷似している。 ブラックウェルは辺りを見渡し、次いで地面に目をやった。 暗いばかりで何も見えない。どうやらとんでもない場所に居るらしい。 「おい、――…ラックウェル!」 見知らぬ土地で名前を叫ばれ、大仰に肩が跳ねた。 慌てて振り向くや誰かが走って来る…様な気がする。 如何せん、一面闇だ。 目を瞬いて相手がやって来るまで大人しくしながら、さり気無く愛銃を求めて肩を触った。 驚いた事に、こんな場所でもブラックウェルの相棒は健気に定位置に収まっていた。 「こっちだ、何をやってる!」 相手は直ぐに現れた。闇の中からぬるりと現れた恰幅の良い男に、ブラックウェルの双眼が思い切り見開かれた。 「めっ…メドウズ中隊長…?ど…どういう…」 狼狽するもはっきりした。 これは、紛う事無き夢だ。 基地で訓練を共にした嘗ての中隊長は、降下直後の交戦で亡くなった筈だった。 懐かしいその相貌を目にして、ブラックウェルは思わず灌漑に浸り、黙り込んだ。 夢で無ければ良いのに。つい、そんな願望が胸を突いた。

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