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Side W

Side W  いやマジでありえんてぃ~。ソファで寝落ちたエレンチャンを見る。何がエレンだ。とびっきりの美少女なんだろうな、名前を聞いたときそう思った。でも実物は全然かわいくない。小松はかわいいよ、とか言ってたけど年齢の大半あいつといても理解不能なところはありすぎて理解できるところの方が少ない。プリン食いながらおにぎり食うところとか。小松は要するにシュミが悪い。軍鶏を飼い犬のチワワのなんとかかんとかちゃんより可愛がってるし。そうだ、アンダルシアちゃんだったかな。マジでイミフ。んでもっとイミフなのはオレ。何してんだろっていつも思う。腕上げて顔を隠してるから肩に隠れそうだけど見えるエレンチャンの右耳ね。ピアスが光ってんの。泣いて嫌がったけどまぁいいだろ、先公にはテキトーに誤魔化しておけよ。オレが空けた。要するにオレが唾つけといたってこと。マーキング。自分の物には名前書けって教わったから、名前じゃないけど目印つけておいたワケ。んで女の子にあげるはずだったピアス通したワケ。似合ってねぇの。  別にオレは不良じゃない。成績はバカクラスでも下位じゃないし。上位でもないけど。ガチでヤバげなのとツルんでないし。やりたいようにやってるだけ。先公にも逆らわないし。まぁ先公が好むタイプだとかでもねぇし、先公の意識にすら残らねぇタイプでもない。 「ぅグッ」  エレンチャンが寝ながらえづいて胸がヘンなカンジした。おっぱいじゃなくて。前に舐めさせて飲ませて散々鳴かしたとき声ガラッガラにしてきて、いつもと違うコイツの声が癪に障って冷たくしたらまたガラッガラに枯れた声で泣きだしちゃってさ。女でもくそダリィんだからやめてくれよなって思って。小松がくそみたいに甘やかして、そういうのコイツには要らねぇんだよ。意味分からん理屈ぽんぽん浮かんで。ちょっと優しくされたからって小松パイセン、小松パイセンって。あいつはお前が思うようなやつじゃねぇんだって掴みかかりたかったわ。外面ばっかりいいから小松ゎ。顔は確かに綺麗だけどモテるタイプじゃねぇわな。でもよかったよな小松?かわいい後輩におモテになってさ。くっだらね。  ベッドにあった薄いタオルケットをぶん投げる。くっだらねぇ小松がくっだらねぇ優しさをコイツに振りかざすのがマジで寒いから。オレはやさし~んだよ。結局タオルケットは上手く掛からなかったけど上半身に引っ掛かって、分かったのか寝ていてもぴくって動いた。バカ小松に優しくされていい気になるなよ。アホ小松に優しくされてんじゃねーし。あいつは誰にでもああなんだよ、バカだから。カン違いして舞い上がってんなよ。つーか起きろし。どんな夢みてんだよ。安らかに寝やがって。先輩の前だぞ。お前とツルんでるのがおかしいくらいモテる先輩が目の前にいるんだって。気に入らない。気に入らない。気に入らないといえばあのクソガキ。小松と前によく一緒にいた根暗っぽいイケメンくん。くそみてぇ。ひとりのコイツに近付いて何。点数稼ぎか?政治家気取りかよ。くそみてぇだな揃いも揃って。小松が甘やかすからいけないんじゃね。 口が暇で舐めていた棒キャンディーがそろそろ噛み砕ける大きさになって、バリバリって音がクソみたいなオレの思考をシャットアウトした。 「起きとけ」  手の甲でヤツの頬を叩く。でっけぇ目がぱちって音しそうに開いて、色白じゃないから分かりづれぇけど目元が少し赤い。すみません、おれ…じゃねーんだよ。先輩放ったらかして何してんだよ。まじで小松が甘やかすから調子ノってんじゃねぇの。ってか小松は別にコイツとそんな親しくねぇだろ?ちげぇだろ?お前が従うべきはオレだよな?オレはやさし~先輩なの。分かってるんだよな? 「パンケーキ奢ってやるよ」  ぱちぱち音をたてながら、いや実際たってねぇけど、ヤツはオレを見つめた。はいご一緒しますありがとうございます観月先輩、それでいいんだよ、さっさと言え。だりぃヤツだな。 「すみません、今日は帰らせていただきます」  ンだよ、それ。

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