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Side W
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このまま喋らせるのまずいかもな、って思った。多分だけど喋りながら何か、カクシンみたいなの掴んでるタイプだこいつ。
「重恋くんと友達になれてよかったです」
何それ、再確認?オレに?それとも別れの言葉のつもりかよ。見ないうちに目にクマ作って色白が蒼白くなってオレにも見せないような薄っぺらい笑顔浮かべてんの、お前自覚あんの?
「鷲宮先輩」
ちょっと弱ってるけど真っ直ぐな目。やめてくれよ、嫌な予感しかしないし、ショーキなの?
「僕は」
ただの失恋だぞ、お前。人生で何度も何度もあるだろうが、これからも。実際アイツだって好きなやつ放ってオレと付き合ってんだし…。でもこいつじゃ縁遠い話かもな。
「前の生活に戻ります。色々とご迷惑おかけしました」
前の生活って何?お前何か変化あったの?は?
「ちょっと!」
「重恋くん、鷲宮先輩は優しくしてくれるって言ってましたから」
目は笑ってないけど口元だけが笑ってる。鳥肌立った。そういうところが薄っぺらいんだよな。笑うのへたくそ。
「冷生チャン、オレの話はまだ終わってねぇんだって」
冷生チャンは首を振る。
「僕なりのケジメですよ。お幸せに」
帰ろうとする冷生チャンの肩を掴む。細。冷生チャンはオレを振り払うこともなければ振り向こうとすることもない。
「イミ分かんねぇ。何なんだよ」
小松もおかしくなっちまって、冷生チャンも何、これが病み期ってやつ?面倒臭くねぇ?
「ケジメって何…」
こいつ何かするつもり?
「先輩も、大変ですね」
オレの前から去っていく冷生チャンはちょっとだけオレの方を向いて、そう言った。本当、何。
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