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Side W

Side W    大変ですね。大変ですね、先輩。呪いかよ。くっだらね。ただの社交辞令みたいなもんだろ。アイツを泣かせやがって…ってオレがいえることじゃな…いや、オレが言えること。顔見に寄った教室でアイツは外を見つめて、冷生チャンは英単語帳広げてた。マジで距離置いてるんだな。でもそれなら本当にガチめにオレが別れ切り出されるのも時間の問題だわな。でもその後、冷生チャンはどう出るの?また距離戻すのか?オレからアクションする場合は、付き合ってるんだからそのままでいいんじゃないって小松は言ってたけど、どうなんだかな。冷生チャン、どう出るの。オレがモヤモヤするんだよな、このまま付き合ってても。だってアイツ、もうオレの前で笑わねぇし。いや、笑うけど、違うんだよな。小松や冷生チャンに見せる程度のでいいから、っていうのもワガママか。別に何が悪かったとか誰が悪かったとか考えたいわけでも知りたいわけでもない。でもなんでアイツは好きなやつがいて、オレと付き合うなんて言い出したのか、目を逸らしまくってても気にならないわけじゃねぇんだよな。 「よぉ、重恋」  教室に入って声を掛ける。小松もおかしくなったけど、コイツもコイツで元気がない。冷生チャンも遠目で分かるほど蒼白くなって。 「あ、観月先輩」  笑うには笑うんだよ。ぼろっぼろなやつ。笑い方を変えたとかいうやつじゃなくて。へったくそで、無理矢理笑いましたみたいなカンジのやつ。 「放課後、いつも通り」  待ち合わせ取り付けて。オレも本当何がしたいんだかな。冷生チャンなんて完全ムシの極み。この前の威勢はどうしたのさ。机から身体斜めにして隣の机に通路塞いで上半身預けてペンが隣の机の上で動いてるのが見えた。隣の女子のノートに教科書広げながら何か書いてる。あっちもぼっろぼろな愛想笑い。 「それだけだから行くわ」  戻ったって暇なんだし、ギリギリまでここに居るって選択もなくはないけどな。このクラスそこそこ頭堅いからかね。女子もオレのこと見て、あんまキャーキャー言わないのな。他クラスなら鼓膜破れるくらいなのに。異次元みたい。

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