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第3話 晴れのち曇り 一

「 ぞう、ぞうダァ パオーンって 」 「 パオ〜〜ン、 じゃあ、ゆうはペンギン。覚えてる?」 「 えーと、これ?」 「 あはは、この指とこの指だよ 」 「 はせもペンギン、やるのー」 賑やかな声が響く土曜日の午後。 スイミングの後、今日は草太が雄介を預かる日。桜新町まで雄介を迎えに行った僕ら。 草太は実家で用があるとかで先に僕が雄介と一緒に帰ってきた。 雄介は草太のお得意の影絵がお気に入りで、最近では僕もしっかり覚えて参加するようになっている。 子どもって可愛い……雄介と遊んでいると本心からそう思う。 「 ゆう、雨も上がったし、外で遊ぼうか?」 「 うん、公園?海に行くの?」 「 パパが帰ってくるかもしれないから公園でサッカーしようか 。 パパが帰ってきたのが見えるからね 」 「うん!」 早速ボールを抱えてピョンピョン飛び跳ねる雄介。 「 雄介の方がボールみたい 」 「 早く早く 」 手を繋いで公園に着くと、早速二人で蹴りっこする。だんだん足が強くなってきて雄介の蹴ったボールを追いかけるのも大変になる。 「 あっ、パパだ!」 ちょうど草太が駅の方から帰ってくるところだった。 雄介に気がつくと、大きく手を振って早足になる。 雄介も跳ねるように走って草太に飛びつく様子を僕はボールを抱えてそっと見守る。 僕の邪魔しちゃいけない時間だから。 草太が雄介を肩車して近づいてくる。なんとなく元気がなさそうなのは今日急に実家に呼び出されたせいかな? おばさん、最近あんまり機嫌が良くないものな。 「 馳、サンキューな 」 「 ううん、草太もお疲れ様 」 軽く頷き雄介を降ろすと、 「 パパも着替えて一緒に遊ぶから、馳とサッカーしてて 」 と言い残すと家の方に歩き出す。 スーツでもないのに着替えるなんて、今日は不思議だな。 リフティングの真似事しながら雄介と遊んでいるとしばらくして草太が戻ってきた。 三人でボールを蹴りだすと周りにいた男の子たちも混ざってくる。賑やかなボール蹴りになって雄介も大はしゃぎだ。 遊んでいるうちに5時の鐘がなり、 子どもたちと別れて家路を戻る。 「 今日はカレーなんだよ!」 嬉しそうに草太に告げる雄介。 雄介の泊まる日は必ず子どもの好きなメニューと決まっているから、月に二回カレーとハンバーグを交互に出す。たまには手巻き寿司なんてものも出てくるんだけど。寿司飯とか卵焼きって割と男にはハードルが高い。 草太と雄介で賑やかなお風呂が終わると僕もさっさと入りすぐ夕食タイム。 食後は又飽きずに三人で影絵をしていると、その頃には雄介のまぶたは重くなってくる。 夜8時雄介を寝かした後は二人で晩酌を楽しむんだけど、今夜の草太は様子がおかしかった。 「 馳、話があるんだけど。 来週契約する家、断るようになるかもしれない 」

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