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第4話 晴れのち曇り 二

契約するはずの家が。 こういう時に僕の悪い癖が出る。 しっかりと問いただし話し合いをしなくちゃならない時に、 話の先が怖くて自分からその事をきちんと聞いて考えることができないんだ。 草太が説明してくれるまで待とう、説明の範囲で納得するしかないから…… 「 雄介を引き取ることになるかもしれない 」 やっぱりそういう話で呼び出されたんだ。 「 馳、聴いてる?」 「 う、うん大丈夫 」 「 それで、おふくろの言う事だと一方的な話でよく分からないから又恵に会って話を聞かなきゃならなくなった 」 「 うん、わかった。 僕はどうすればいい?」 草太はまだ何もしなくていいよと軽く頭を振る。 「 さっき恵に連絡取ったら、土日は再婚する相手の所にいるからだめだって言うから、月曜日の夜会ってくるよ 」 「 え?じゃあ、ゆうは明日どこに送っていくの?」 「 おふくろの家にって 」 苦々しそうにその事を話すと草太は立ち上がってキッチンへ行く。 「 何か飲む?」 変だよ、恵さんは日曜日に家に帰らないって事? あの人も月曜から仕事なのに、 「 馳?俺は水割りにするけど?」 「 あ、ありがとう。僕も同じでいいよ 」 結局僕からは質問しなかった。 翌日の日曜日はよく晴れて、絶好のピクニック日和。 草太と雄介と一緒に海岸伝いに行けるとこまで行ってみようというその時の気分にお任せピクニックをすることになってる。 雄介はとにかく起きてからはしゃぎっぱなしで、 「 ほーら、ちゃんとご飯食べないと、お腹が空いて倒れちゃうぞ!」 「 はーい 」 と言いながら公園から聞こえてくる犬の声に気を取られてる。 お箸が使えるようになってきたけどまだ上手じゃないから、 「 もう、今日はスプーンで食べちゃえ 」 っとたまごかけご飯にスプーンを渡す。 「 ヤッタァ 」 と言いながら小さな茶碗を持つ手が本当に可愛い。 エプロンをして雄介と向かい合って座ると家族ってこんなんだろうなぁ、って幸せな気分になるから不思議。 「 馳ってエプロンすると若妻みたいだ 」 笑いながらしゃべる雄介の隣の男にはもちろんデコピンをお見舞いした。 バカ、雄介に聞こえちゃうだろ…… ロードバイクでは雄介を乗せられないので、三軒先の原田さんに子ども席のついたママチャリを借りる。 なんで独身の原田さんが子どもの席付きのママチャリを持ってるかと言うと、 だちが子連れで遊びにくるのでその時のために置いてある と言う事らしい。 「 いいお天気で、よかった 」 「 原田さんも一緒に行かない?」 誘った途端、思いっきり破顔してそれから急に情けない顔になる。 「 うわぁ、嬉しくて残念太郎だ 」 「 なにそれ 」 思わず吹き出すと、 「 馳さんに誘われて、ヤッタァ!でも今日はダチの引っ越しの手伝いでギャフンって顔 」 「 うわぁ、それは残念太郎だね 」 そんな話をしていると草太が小さなヘルメットをしっかり被った雄介と家を出てきた。 「 おはよう、原田さんいつも助かる 」 雄介も 「 おはよ、ハラダさん 」 やっとラが言えるようになった。 それまではハリャダさんだったんだけどね。 原田さんがしゃがみこんで 「 お、カッコいいヘルメじゃん 」 と雄介とハイタッチしてる。 ハイタッチは原田さんが雄介に教えて保育園で流行ったんだと伝えたら原田さん、大喜びしてた。 「 それじゃあ、出発するか 」 お日様はサンサンと天高く、 青葉が風にそよいで絶好の日和。 ママチャリを漕ぐのは僕。 これは雄介がなぜか譲らない。 お母さんの安心感が馳の方にあるんじゃないの?とぼやいた草太はロードバイクに今日一日のエネルギー、つまりお弁当を詰めた大きなリュックを担いで乗る。 さぁ、昨夜のこと、今日は忘れて楽しもう。 「 しゅっっぱぁ〜っ 」 雄介の可愛い掛け声で男二人はペダルを漕ぎだす。 「 ブォン ヴィアッジョ!」 原田さんが手を振っている。 なんでイタリア語?

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