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第6話 晴れのち曇り 四

大きな乗換駅の前にはチェーンの不動産屋が何件かある。 まず店先で検索をかけると情報は半端なく上がってくるけど、やはり男二人っていう条件にはまだまだ厳しい。 ワンルームも多いせいか、二時間ほど探したけどその日はこれはという物件にはぶつからなかった。 帰る電車では沈黙が続く。藤沢駅で片瀬江ノ島行きに乗り換えると日曜日の夜はかなり乗客が減ってきた。 「 疲れた?」 と草太に声をかけると、 「 ごめんな、馳こそ疲れただろ 」 と少し会話が始まる。 男同士の微妙な内容の話、満員の電車内ではやはり話せない。 「 ラーメンでも食べて帰る?」 と聞くと、 「 そうだな 」 と終点の片瀬江ノ島駅を降りると商店街のラーメン屋に向かった。 二人がけの席に着く。 「 もうすぐあの家も出なきゃなならないから早く見つけないといけないし、今週また帰りに井の頭線沿いの地元の不動産屋に寄ってみる 」 「 え?平日なのに?」 「 あぁ、その日は早退するよ……色々雄介のこともあるし 」 その後は黙って、きたラーメンをすするけど、海ちかの少し濃いめの醤油の味が今日はなぜか妙にしょっぱかった。 いつもは雄介を帰した後、その夜は早めからゆっくりとしてお互い昂まってる熱を開放する時間を大切にしてくれる草太。 今夜は流石にそうはならないよね。 玄関の鍵を開ける草太に僕は、 「 買い忘れてたものがあるからコンビニ行ってくる 」 流石に振り向いた草太に、先に休んでては、意地でも言えなかったけど。 僕は遠くの方のコンビニを目指す。一人で考える時間が欲しかった。一緒にいれば全て草太に持っていかれてしまうこの気持ちの整理を一人で始めなきゃならない…… 時間はないと草太が言ったんだから、僕もその時間に合わせなくてはならない。 湿り気を帯びた夜の海風、僅かに冷たく重くなった肌触りにふらりと身体が震える。

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