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Ⅰ:2
「ジンくんは18時inで2時間コース山中様。その後23時から朝までコース松田様。上の203号室と204号室使って」
「へぇ~い」
「ユッキー今から出れる?」
「大丈夫でぇす」
「ユッキーの相手は赤塚様。いつものラブホ前で合流、今日は女装プレイ希望だから衣装持ってってね。糸 、Sサイズのセーラー服持って来て」
俺はこの店の“マネージャー”である芳哉 さんの声に反応してのっそりと隣から立ち上がると、衣装部屋へと入り沢山ぶら下がる衣装の中からセーラー服を取った。
(これを男が着るのかよ、まぢキメェ)
手に持ったセーラー服を掲げながら振り向くと、部屋の入り口に小綺麗な男ことユッキーが立っていた。
「糸くんそれMサイズ。僕はSサイズね」
「…………」
無言で元に戻しもう少し小さめの物に取り替えると、俺はユッキーにソレを押し付けた。
「……自分で取れよ」
「もぅ~、それ位は働きなよ! アレ、本当は糸くんの仕事でしょう?」
言われてみた先には、パソコンでネット予約を確認しながら電話に出るマネージャーの姿が。
「電話番は糸くんの仕事でしょ? 数馬 さんにバレたらまた怒られるよぉ?」
「バレねぇもん」
「またそんな適当なこと言って!」
隣で頬を膨らます姿は矢張りボーイッシュな少女の様で、こいつを抱きたがる男がいるのも多少は頷ける。
だが矢張り、男は男だ。
男が男を抱きたいなんて感覚、正直間近で1ヶ月見てきた今でも理解し難い話だった。
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