13 / 45

Ⅰ:13

◇  外に出た俺はそのまま黒塗りのデカい車に投げ入れられた。  よく見ればそれはいつも数馬さんが乗っている車で、普段なら運転手が居るはずのその位置に数馬さんが荒々しく腰を下ろす。 「か、数馬さんが運転してきたんスか?」  俺の問いかけは完全に流され、それからマンションに着くまで数馬さんは無言で車を走らせた。 「ヨシ、こいつを風呂に入れたら上がって来い」  店として使っている103号室に引きずる様にして俺を連れて行った数馬さんは、マネージャーに俺を投げつけると部屋から出て行った。 「シャワー、浴びるか」  俺を支えたマネージャーを振り向けば、右側の頬が変色して腫れ上がっている。 「マネージャー、その顔」 「お前が気にすることじゃない。ほら、さっさと風呂入れ」  背中を押されバスルームに入れられる。  シーツさえ外してしまえば全裸だった俺は、そのままノブを回して殆んど水に近いシャワーを浴びた。  八島にかけられた精液が顔や肩にこびり付いたまま固まっていて、これを数馬さんやマネージャー、まだ部屋に残っていた売り子達に見られたんだと思うと、珍しく本気で憂鬱になった。

ともだちにシェアしよう!