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Ⅰ:14

 用意してもらった適当な服に身を包みマネージャーと共に自身の部屋に戻れば、そこには無表情を張り付けた数馬さんがソファに座って待っていた。  俺とマネージャーはその数馬さんの足元…つまり床に正座して向き合ったが、正直怖すぎて数馬さんを見ることは出来ない。だって、周りを漂うオーラが黒すぎるのだ。  それはマネージャーも感じ取っているのか、俺の隣で冷や汗をかいている。 「で、何でテメェが客なんか取ってんだ?あ?」 「え…と、……」  難しい事を聞かれている訳では無いのに、質問が単刀直入過ぎて逆に言葉が出てこない。  俯いたまま俺がオロオロしていると、横からマネージャーが助け船を出してくれた。 「オーナー、こいつは悪くないんです。俺が頼んじまったから、だから糸は」 「俺は糸に聞いてんだ、お前は黙ってろ」 「す…すいません」  だがそんな船も直ぐに沈没し、再び突き刺さる視線が俺に戻って来た。  見なくたって分かる。今数馬さんはめちゃくちゃ怒ってる。  けど、考えてみれば何故怒っているのか俺にはイマイチよく分からない。  だって俺は店に貢献していたはずだ。あんなグダグダな電話番よりもずっと役に立ってたはずだ。  実際客であった八島は喜んでたじゃないか。  俺はゴクっとツバを飲み込み口を開いた。 「俺、そんなに悪い事、したんスか…?」 「…あ?」 「だって、人が足りねぇって言うから…。ユッキーみたいのじゃなくて、ブサイクが良いって言うから、俺、やっと役に立てると思ったんだ。実際あのオッサン、すっげぇ楽しんでたじゃん」  そこまで言った瞬間、俺の左側から何か固い物がぶち当たって来た。そのまま体が吹っ飛んで隣に座っていたマネージャーにぶつかる。

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