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Ⅰ:おまけ☆
※芳哉視点
足にしがみ付いていた糸を振り落としたオーナーは、そのまま玄関へと向かって行った。俺はそれを慌てて追いかけた、のだけど…
「おい、ヨシ」
「はいっ」
「アイツに関して“次”は無いからなぁ。お前も覚えとけ」
「は、はい、すみませんでした」
「あぁ、それと」
「はい?」
『そんなに男に股開きたきゃ、俺が嫌ってほど開かせてやるってあのバカに伝えとけ』
見下ろした先の、パンパンに顔を腫れさせたまま無防備に眠る糸にほんの少しだけ憐れみを抱く。
糸が客を取ったと分かった途端店に乗り込んできたオーナーに、加減なく頬を殴られた。
そうして運転手を車から追い出し嵐の様に糸の元へと向かっていった彼の後ろ姿を、店の誰もが信じられない気持ちで見送った。
何にも執着しないあのオーナーが、糸にだけは可笑しくなるのだから世の中不思議なものだ。
「お前、とんでもねぇ人に捕まっちまったなぁ」
オーナーに殴られた頬の痛みと共に、俺は新たな頭痛の種を抱え苦笑した。
END
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