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第4話
1度下がった熱が昼になると上がってきた。咳も出てきて、また頭痛に悩まされる。
けれど運悪く今は家に1人。冴島は食材を買いに行くと言って家を出てしまっている。
ベッドに倒れ込み、布団を被って目を閉じた。熱が出ている時は体が辛いせいか、いつもは感じない寂しさを感じる。
「······寒い」
布団を手繰り寄せ、枕に顔を埋める。
「────ただいま」
冴島の声が聞こえてきても起き上がることができない。
「神崎君······?」
「·············」
「寝てる?」
顔を出して冴島を見ると、訝しげに俺を見て近付いてきた。
「口開けて喉見せてね」
「あ······」
言われた通りにすると「喉赤いねぇ」と言って離れていく。
「待っててね」
部屋を出た冴島は、暫くして薬を手にして戻って来た。
「これ飲もうね」
「ん」
口を開けると薬が入ってきて、ペットボトルを傾け水を飲まされる。
「少し眠って」
「······寒いんだ。暖房つけてくれ」
「うん。ここにリモコン置いておくよ」
「ああ」
返事をして目を閉じる。冴島の気配が消えて、いつもなら寝れるのに、眠れない。
寒い、寒い。
頭まで布団を被る。
久しぶりに体調を崩した。それはなかなか手強くて、すぐに治ってくれない。こんな事は子供の頃以来だ。
熱い息を吐いて、何度もゴロゴロと寝返りをうった。
そして、さっき少し思い出した子供の頃のことを頭の中で思い浮かべた。
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