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第7話 冴島side
神崎君が眠ってからしばらく経った。そろそろ水分を取らせないといけないなと、飲み物を用意して寝室に行くと、酷く魘されている姿が目に映って、肩を軽く叩き声を掛けた。
途端、慌てて起き上がり、寝室を飛び出した神崎君。
追いかけるとフラフラした足取りで立っているのも少し辛そうな様子で水を飲んでいるところだった。
悪い夢を見ていたんだろう。無意識にか左手首を引っ掻いている。きっと本人も気づいていないそれを指摘するのは違う気がして、兎に角場所を移動し、服を着替えさせた。
ソファに寝転んだ神崎君は目を閉じて辛そうに眉間に皺を寄せている。
「寒くない?」
「······冴島」
「ん?何?」
小さな掠れた声に呼ばれて、そばにより、聞き漏らしのないように耳を傾ける。
「疲れたら、放っておいてくれて構わないから」
「··················」
「時間の無駄になるだけだから、若には俺から伝えるし、無理しなくていいから」
「······無理してるのは神崎君でしょ。辛いなら話さなくてもいいから、ゆっくり体を休めて」
ぽん、ぽん、と一定のリズムで軽くお腹辺りを撫でる。まるで子供にするようなそれに、怒られるかなと思ったけれど、そんなことはなく、少しすると寝息が聞こえてきて、やっぱり体は辛かったんだなと、可哀想に思う。
寝室から布団を持ってきてそれを掛けてあげる。
神崎君が起きるまでは自分の仕事をしよう。持ってきているパソコンを開ける。それとほぼ同じタイミングで志乃から電話が来た。
「はいはい、どうしたの?」
「······神崎の様子はどうだ。」
「今は寝てるよ。1度熱は下がったんだけど、また上がってきちゃって。······何かあった?」
「······暫く場所を移す。家で梓が襲われた。」
「は?」
話を聞けば梓君が怪我をしたみたいだった。処置は済んで問題ないけど、酷く怯えているらしい。
「何かあった時のために、伝えておこうと思ってな」
「そう······。それは組員には伝えてるの?」
「今の所は幹部にだけだ。けど、今神崎に伝えたら下手をすれば動こうとするから、代わりにお前に伝えた。神崎に伝えるかどうかの判断は任せる」
「わかった。ごめんね、力になれなくて」
「何が。十分なってくれてるだろ」
志乃がクスっと笑ってるのが聞こえる。
「じゃあ、何かあったら連絡してくれ。」
「ああ、志乃もだよ。」
電話を切って、この短期間で色々起きたことに少し不安になった。
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