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第9話
変な体勢で寝ていたから体が痛い。
伸びをして、まだ眠ってる神崎君を起こさないように立ち上がり、顔を洗ってご飯を作った。
神崎君の金色の髪を顔から退けて、額に触れると熱は下がっていて安心する。
今日まではちゃんとゆっくりしてもらおう。
昨日は途中でやめた仕事を、神崎君が起きるまでに終わらそう。そう思って神崎君から離れようしたら、「ん······」小さく声を漏らした神崎君。
「······冴島」
「おはよう。ごめんね、起こしちゃったかな」
「······今何時」
「今は8時だよ。」
「まずい」
ばっと起き上がった神崎君は顔を洗いに行き、寝室に入ったかと思えばスーツに着替えて出てきた。まさか、仕事に行くつもりだろうか。
「駄目駄目!休みなさい!」
「もう2日も休んだ。早く行かねえと他の幹部の負担になる」
「何のために幹部が4人いて、幹部補佐までいると思ってるの!?誰かが休みでも補えるようにでしょ!?」
そう言って腕を掴むと、綺麗な目が細められ俺を睨んだ。
「もう治った。若には体調が戻るまでって言われてる。」
「確かに熱は下がった。でも昨日もそうだっただろ。その後に熱が上がった」
そう言うと苦い顔をした神崎君。俺の腕を振り払って、ソファにドサッと座った。
「お前は何なんだ。」
「え?何が?」
「······お前は、何のために俺をそんなに気にかけるんだよ。お前にメリットなんてないだろ。むしろ時間を取られてデメリットになる筈だ。」
そう言われて改めて、神崎君にどうしても構ってしまう理由を考えた。
「何かね、気になってしまうんだよ。」
「はぁ?」
「君が傷付くのをみたくないなって、思っちゃって」
「何だそれ。変わってんな」
クスッと小さく笑った神崎君。あまりにも綺麗で目を見開いた。
「神崎君、君って本当、綺麗だね」
「······知ってる」
少し誇らしげな顔をする神崎君。少しだけ、心を覗けたような気がした。
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