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第16話
***
「神崎ィィイ!!お前が休んだせいで俺の仕事がぁっ!」
「ああ、悪かった。」
「さっさとこれやれ!あとなぁ!若に連絡しろ!!」
速水から資料を渡され、それを見ると相良舞をはじめ、相良組の情報がズラリと並んでいた。速水は一体何徹目なのだろうか。目の下にくまを作り、苛立っているようでいつもと違う独特なイントネーションで話している。
「相馬、先に少し休んできていいぞ」
「夏目ェ······15分経ったら起こしてくれ。立岡から連絡が来たら······」
「わかったから、もうしばらく寝てないだろ。休め」
夏目に休めと言われた相馬がソファに寝転んだ。すると間もなく眠りに落ちて、申し訳なく思いながら若に電話をかける。
「どうした」
すぐに電話に出てくれた若に感謝しながら、「おはようございます」と挨拶をした。
「ああ、おはよう。」
「本日から本家の方に戻りました。」
「······冴島から話は聞いてるな?」
「はい」
「暫くは本家に行けない。何かあれば連絡する。今は幹部に任せてる仕事がある。それを急いで終わらせてほしい。」
さっきもらった資料は情報系のものばかりだった。それならここにいる幹部より立岡の方が速いし細かい所までわかる気がする。
「先程見た資料が情報系でした。立岡に連絡はされていますか?」
「あいつは休暇中だとか言って、連絡しても返事がねえんだよ······」
「······それ、多分嘘ですよ。立岡の家に行ってみます。可能であればそこで協力を求めます。」
「悪いな。頼んだ」
「はい。では、失礼します」
電話を切ってすぐ、資料を持って幹部室を出る。
「神崎どこ行くねんな!!」
「立岡の所だ。その方が効率がいいだろ」
「あいつ俺の電話出よらんねん!」
「ああ。多分俺も同じだ。だから家に行く。どうせ寝てるだろうしな」
「あいつも組員やろ!?情報で1番腕立つからって調子乗りすぎ!!なあ夏目!!」
「俺に振るなよ······」
兎に角苛立ってる速水から離れようと急いで幹部室を出て、自宅から乗ってきた車に乗り、立岡の家に向かった。
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