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第18話 冴島side

考えてみたら、今の状況はすごく不思議だ。 「掃除でもしようかな」 寝室にあった神崎君の脱ぎっぱなしにしていた部屋着を畳んで、俺も服を着替えて物置から掃除機を取り出した。 この家の鍵を持っていないから、勝手に家から出れない。だから今日は大人しく過ごすつもり。 掃除機を当てて、暇な時間は読書をする。 普段と特に何も変わらない時間の使い方。これが面白いのかと問われると頷けないけど、他にすることが見つからない。 「洗濯物しよう」 いや、することはあったな。 働くのは嫌いじゃない。 洗濯機を回して、その間はまた読書をして、洗濯が終わったらそれをベランダに干した。 うん、今日はいい天気だからきっとすぐに乾くだろう。 「······神崎君の事、好きなんだなぁ」 部屋に戻って、その瞬間香る神崎君の優しい匂い。 年上なのに飾らない所とか、物事を冷静に見て、意見をはっきり言うところとか、ああいう性格だから志乃に気に入られてるんだろうし、俺も好きになったんだと思う。 今すぐに彼とどうにかなりたいなんて思わないけど、いつか何でも話し合える仲になって、誰よりもそばに居たいとは思う。 「もっと分かり合えたらな」 彼の傷を癒すことができたら、俺を見てくれるのかもしれない。 「会いたいな」 朝出ていった彼に、いってきますって言ってくれた彼に、もう会いたい。 「この年で初恋なんて······。拗らせる予感しかしないよ······」 どうすればいいのか、全くわからない。

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