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第24話

冴島に凭れて体から力を抜いた。 甘えるのはいけないと思いながらも、何かに縋りたい。 「神崎君······」 「······悪い、ちょっとだけ、このまま」 冴島が俺の背中を撫でる。 「······冴島」 「うん」 「お前、俺が好きなんだろ」 「え、あ、うん。そうだね」 人の好意を自分が楽になるために利用するなんておかしいけれど、そうでもしないとおかしくなりそうで。 「冴島······助けて」 「······うん。もちろん、君が少しでも楽になれるように手伝うよ」 顔を上げると、冴島が柔らかい表情で俺を見ていた。 縋るように冴島の背中に腕を回した。温かい体温が冷えた心を包んでくれる気がする。 「何があったの?」 ぐっと唇を噛んで、泣きたくなる気持ちを抑え込んだ。 *** ゆっくりと、今日のことを話した。 母さんの所はサラッとだけれど。 「そう。それは頑張ったね」 「······でも、そのせいで若にも幹部にも迷惑をかけた。」 「でもね、そうしていないと君が保てなかったんだ。どっちがいいかなんて、わかりきってるでしょ。」 冴島はいつもそうだ。俺を否定しない。 そうされると楽で、このままずっと隣で認めていてほしい。 「冴島」 「どうしたの?」 「ずっと、俺の······」 そこまで口に出して、何を言おうとしているんだと口を噤んだ。 「神崎君?」 「······悪い、何でもない」 ───······ずっと隣にいてくれ。 間違っても、言葉にはできない。 冴島の様な優しい奴を、俺が縛り付けることなんてできない。

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