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第26話

神崎君が俺にキスしてる。 そのまま床に押し倒され、上に乗った神崎君が厭らしく微笑む。 「か、神崎君······」 「わかんねえなら、教えてやるよ」 「や、やめよう、神崎君っ」 「俺が好きなんだろ?それに俺も許したんだし、いいじゃねえか」 そう言って神崎君は俺の胸に手を置いた。 「触れ。俺を······俺を、安心させてくれよ」 「安心······?」 「ああ。助けてくれ、嫌な事を忘れさせてくれ」 辛そうに顔を歪めた神崎君。これが彼の心を少しでも軽くしてあげられるならいいのかもしれない。 「神崎君、君の嫌なことはしたくない。」 「嫌じゃない」 「君が楽になる方法なんだね?本当だね?」 「······ああ。俺を助けて」 神崎君がもう1度俺にキスをした。神崎君の背中に腕を回し、体を神崎君ごと反転させて俺が押し倒す体勢になる。 「怖かったら言って」 「······ベッド」 「ああ、そうだね。立てる?」 神崎君の上から退いて、手を引き体を起こさせる。そのままベッドに連れていき、神崎君をそっとベッドに寝かせた。 「経験、あるの?」 「男とする経験か?無いな」 「······ゴムある?」 「それはある。もう暫く使ってなかったけどな」 ベッドの側の棚からゴムを取り出した神崎君は俺にポンッと投げて渡す。 「ローションとかねえんだけど、いけるか?」 「ワセリン持ってるからいけると思うけど······やっぱり止めておく?」 「いい、早くしろ」 そう言われて、苦笑を零した。こういうのに使うやつじゃないんだけどな。 「服、脱ごうか」 「······その医者みたいな口調やめろよ。」 「ああ、わかった。じゃあ、ほら、脱いで」 着ていたスーツにシャツを脱がせる。綺麗に割れた腹筋に、たくさんの傷跡。全てが愛しく感じる。

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