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第31話 神崎side
初めて男とセックスをした。体に残る違和感。けれどその感覚はきっと少ないんだと思う。それに思っていたよりすぐに終わった。それもこれも、冴島······秀が気を使ってくれたから。
「彩葉、お風呂湧いたよ。入れる?」
「先に入れば」
「君の方が負担が大きかったんだから、ゆっくり浸かって休んでほしいんだ。······もしかして、体痛い?」
「痛くない」
どこまでも優しい秀は、心配して俺のそばに寄ってくるけれど、どうもしていないから申し訳なさすら感じてしまう。
「ほら、お風呂いくよ」
「でも、まだ昼間だぞ?今から風呂に浸かったら······」
「あれ?そんな事言う?真昼間にセックスしたけど」
「それとこれは違う。風呂は習慣なんだよ」
「はいはい」
自分でも理解できない言い訳をして、けれど秀に押され風呂に入った。
「体辛くなったら呼んでね」
「ん」
「我慢しちゃ駄目だからね」
風呂場で体と髪を洗い、湯船に浸かる。
眠たくなってきて欠伸を零した。
後で若に連絡をしないと。あんな事をしてしまって、きっとすごく怒っているはずだ。
「面倒臭ぇ······」
あの女のせいだ。
ああもう、嫌になる。
いつの間にか結構な時間が経っていたらしい。指がふやけてしまった。秀も心配したようで、様子を見に来た。
「彩葉······?」
「悪い。あがるから」
湯船から出て1度シャワーを浴び、体をタオルで拭く。
「ご飯出来てるよ」
「食べる」
服を着て、軽く髪を拭きリビングに出た。
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