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第44話
食事を終え、皿洗いをしてから一服していると、「あがったよ」と秀が風呂から戻ってきた。
「俺も入る」
そう言って着替えを取りに行こうとしたら腕を掴まれた。
「ねえ、さっきした話覚えてる?」
「······夜ってやつ?」
「そう。俺、待ってるよ」
「······わかった」
手が離されて、着替えを持って風呂場に行く。
初めてではないけど、まるで初めての時のようにドキドキしていた。
隅々まで綺麗に洗って······そんなの逆に恥ずかしい。
少し長く時間がかけて風呂から上がった。髪を乾かすのをいつもは面倒臭いと言ってしないのに、時間を稼ぐためにちゃんと乾かした。
「彩葉」
「っ!何だ!」
「髪乾かして偉いね。いつもはしないのに」
「うるさい!」
タオルを洗濯カゴに放り込み、リビングに戻る。ドキドキして仕方がない。これが好きってことなのか。
「彩葉?怒ったの?」
「怒ってない······けど、恥ずかしい」
「あはは、なんか、意識してくれて嬉しいな。」
ソファに座ると隣に腰を下ろした秀が、俺の手を取った。
「嫌なら、しないでおく。でも恥ずかしいだけなら、するよ」
「っ、わかってる。ちゃんと、お前の気持ちを受け止めるつもりだから」
「うん、ありがとう」
「でも······煙草吸わせろ」
「えー、口寂しいならこれでどう?」
ちゅ、と触れるだけのキスをされる。
「ね?こうしてようよ」
「ぅ······」
「だめ?」
頬を撫でられ、そのままもう1度キスされる。
「ベッド、行こうか」
その言葉に頷いて、腰を上げた。
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