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第70話

立岡を連れて本家に行くと、何故か今日は珍しく若がいた。 「立岡、後で話がある」 「説教なら聞かないし、この前みたいなこと言うつもりなら先に親父に文句言わせてもらうけど、どう?」 「······どっちも言うつもりは無い。ただ聞きたいことがあるだけだ。」 「ふーん」 それだけ会話をすると、立岡に腕を掴まれてそのまま相良舞の居る地下に連れて行かれる。 「おい!俺はあいつには会えなくてっ」 「いいから来なよ。」 抵抗するのも面倒でついて行くと、呑気に地下で眠ってる女がそこにいて、立岡が思い切り鉄格子を蹴りつけると大きな音が立ち、驚いて起き上がった。 「あれ······神崎彩葉と、誰······?」 「お前、誰に神崎の話聞いたの?」 「質問に答えてよ。貴方は誰?」 「早く言った方が身の為だよ」 いつも聞くヘラヘラとした声じゃない。こういう時は立岡が要求する物を早く出さないといけないのは、経験場わかる。 けれど、目の前の女は違うようだ。 「わかった!あんたが情報屋ね。眞宮には腕の立つ情報屋がいるって聞いたわ。」 「······あと10秒」 低い声が鼓膜を揺らす。 冷や汗をかきそうな程、立岡から醸し出されるオーラは黒い。 「おい、ちょっと落ち着けよ」 「お前に言われたくないよ。こいつのこと殴ったんでしょ?」 「そうそう、この間こいつに殴られたの。······で、何だっけ?誰に聞いたか、だっけ?」 何故か突然話す気になったらしく、その言葉が聞こえて、じっと相良を見る。 「カラスよ。知ってるでしょ?」 「······カラスね。でも何でお前みたいなのがあいつと取引できるわけ?あいつは人を選ぶよ。」 「知ってるわよ。でもね、例外があるの。あいつ、面白いことは大好きだから」 俺の情報が面白いこととして売られてるのには少し腹が立つ。舌打ちをすると立岡は俺を見て小さく笑った。

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