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第84話 冴島side
彩葉が眠ってから、携帯を借りて着信履歴を見た。そこには彩葉が登録していない番号が表示されていて、それを自分の携帯で写真に撮って志乃に送る。
すぐに電話がかかってきて「これは何だ」と聞いてきた。
「この番号、知ってる?」
「知らない。······調べればいいのか?」
「うん。お願い」
志乃は話が早いから助かる。
電話を終えて、15分くらい経ったら彩葉を起こそう。
「それにしても、怯え方が尋常じゃなかったな······」
それなのに、電話は誰からかわからないなんておかしい。
それは彩葉の嫌な記憶に関係してるのだろうか。それなら、本人が理解しようとしないだけで、本当は何に対して怯えているのか理解できている可能性がある。
でも、彩葉から無理に聞き出すつもりは無い。かといって何も出来ないのは歯痒くて仕方ないから、志乃に協力してもらう。
早く誰だったのかわかればいいんだけど······。そう考えているともう15分が経って、彩葉を起こした。
「彩葉、起きて」
「······うん」
「眠たいね。顔洗う?」
「······起きる」
質問と答えが合ってないけど、そんな所も可愛い。
さっきの怯えた様子はなくて、寝たら落ち着いたんだろうけど、またあの番号からかかって来たら同じことが起きるんだろうな。
心配だけど、勝手に踏み込めない。
「昼ご飯は何食べようか」
「何でもいい」
まだ眠たいようでぼーっとしてる彩葉。俺にもたれてまた目を閉じようとする。
「ダメだよ、寝ちゃダメ」
「······夜も寝れるからいい」
「とか言って、寝れないでしょ。今日は運動もしないんだし」
「······寝る前にお前が頑張れば、俺だって運動することになる」
言葉の意味をすぐに理解して、一気に顔が赤くなる。でも何て言い方をするんだ。
「誘ってるの!?」
「······叫ぶな、うるさい」
嫌そうに顔を歪めた彩葉に謝って、でも今日もたくさん触っていいんだって嬉しくて、顔が緩むのを抑えられなかった。
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