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第91話 冴島side
立岡に調べさせたところ、確実にカラスと彩葉の父親が繋がっていることがわかった。
けれど、彩葉の場所が見つからない。
彩葉が居なくなって3日。堪らず志乃の家に行って新しい情報を逐一聞く。
「冴島、少し寝ろ」
「······立岡を使っても3日も見つからない!!」
「焦ったって仕方が無い。冷静になれ。」
「っ、これが梓君だったら、お前は冷静でいられるのか!?」
つい大きな声を出して、部屋にいた梓君を怖がらせてしまう。志乃は呆れたようにため息を吐いて、俺の背中を叩く。
「そうすれば見えてくるかもしれない。」
「見えてくるわけないだろ······。」
「見えてこなくてもいいんだよ。とにかく落ち着くことが大切なんだ。ろくに眠れてないんだろ。まずは休め。いざって時に迎えに行けなくても知らないぞ」
「······何かわかったらすぐに教えてよ」
「ああ」
志乃が貸してくれたベッドに寝転んで、目を閉じる。どうしても寝れる気はしなかったけれど、精神的に疲れていたのか、気づけば眠りに落ちていた。
***
「冴島、起きろ」
肩を揺らし名前を呼ばれて目を覚ます。
「立岡が、今向かってる。思い当たるところがあるって。」
「どこっ!?」
「その場所は、神崎と誰にも言わないって約束した所らしい。だから言えないんだと。でも、見つけたらすぐに連れて帰ってくることを条件に、あいつに行かせた。」
そんな約束しるか、って言いたかった。
けど、今はもう立岡に任せるしかない。早く見つかってくれと、強く祈る。
「見つかったら、ここに連れてこさせる。それでいいか?」
「ぁ、で、でも、大きな怪我をしてたら対応出来ない。それなら、前に志乃が頼んでたトラさんにの病院の方がいい」
「わかった。」
震える体を、志乃に軽く叩かれる。
志乃が出て行くのと入れ替わるように梓君がやって来て「向こうで待ってよう」と部屋から連れ出された。
「──ああ、わかってる。でも成る可く早く。お前も無理だと思ったら連絡しろ。」
志乃はまた立岡と連絡してるんだと思う。難しい顔をして、電話を切った後、深く息を吐いて椅子に座った。
「遅くなるかもしれない。それに、今日助けられるかどうかはわからない。けど、焦るなよ」
「······わ、かった」
いざという時を待たないと、失敗するかもしれない。無事でいてくれと願うしかなかった。
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