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第95話 冴島side
立岡から連絡があったのは翌日の事。
無事に保護できて、今はトラさんの所にいるらしい。それを志乃の書斎で2人きりになって聞いていた。
「でも、神崎が誰にも会いたくないって言ってる。あいつが落ち着くまでは行けない」
「何で!?」
「立岡が言うには······、父親にヤられていたらしい。」
言葉を失って、脱力し床に座り込んだ俺の隣に志乃がしゃがみこんだ。
「だから、今は会いに行けない。わかったな?」
「······よくも、自分の息子に、そんなことが出来るね」
「······あいつの傷が治るまで、近付くな。お前はしばらくここにいろ。──梓!」
大きな声で梓君を呼んだ志乃。梓君は不安そうな表情でやってきて「どうしたの?」と聞いている。
「しばらく冴島がここにいる」
「······わかった」
「無理しないように、一緒に見張っててほしい」
「うん」
立ち上がった志乃に連れられて、リビングに移動する。
彩葉のことを考えると可哀想で仕方なくて、何も出来なかった自分が嫌になった。
「あいつの父親は、回収に向かってる。立岡が状況を判断して場所を教えてくれた。」
「······1度会わせて」
「話すだけならいい。手は出すな」
「······うん」
志乃に頭を撫でられる。
早く彩葉を抱き締めてあげかった。
その日の夜、志乃が携帯を耳に当てながら「あぁ!?」とイラついたような声を出した。
「居ないだァ?立岡の話じゃ大分殴ったから今日は起きねえだろって言ってたのに······協力者か。」
その言葉で理解ができた。
彩葉を傷つけた男が、回収に向かった時にはもういなかったのか。
「きっとカラスだ。······あれは浅羽の言うことなら聞くかもしれないな」
舌打ちをした志乃は電話を切って、すぐに立岡に連絡をしていた。
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