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第103話
ガトーショコラ作りは前回と同様、俺が失敗して梓君を困らせたけど、結果上手くできたしまあいいだろう。
「あっ!この前生クリームのスプレー買ったんだった!」
「え、そんなの買ったの?」
「あのね、フレンチトーストとかに付けるんだけど、ちょっとだけほしいって時に使えるでしょ?」
「なるほどね」
ガトーショコラを切り分けて、生クリームを添える。小さく拍手をした梓君は、フォークを持ってきて俺にくれた。
「食べて!美味しい?」
「えー、俺が先に食べていいの?」
「いいの!」
「じゃあ、遠慮なく」
一口サイズに切って口に入れると甘さが広がった。美味しくて思わず頬が緩む。
「美味しいよ」
「やった!俺も食べよ!」
にこにこと笑顔でそれを食べる梓君が可愛らしい。
「あの、明日、もし全部が終わったら、神崎さんに持って帰ってあげて」
「······いいの?」
「うん。志乃はあんまり食べないし、俺1人でこれ食べたら太っちゃう」
「梓君はもうちょっと太ってもいいと思うけど」
「えー、嫌だ。志乃がムキムキだから、せめて脂肪はつけたくない······」
確かに。俺も彩葉が鍛えていて引き締まった体をしてるから、太らないようにしたい。
「わかった!志乃を太らせたらいいのか!」
「志乃は何かを食べてもその分、運動するからねぇ。ほら、鍛えるとかじゃなくて、仕事で」
「······いい案だと思ったんだけどなぁ」
俺も、彩葉に沢山食べさせてちょっとの油断を見せてほしいなんて思ったけど、梓君の案に口を出すのと一緒に抹消した。
「あ、神崎さんって甘いもの好きなの?」
「······わからないな」
話し合う内容にそれも加えることにして、荒んだ時間をゆっくりと過ごした。
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