104 / 188
第104話 神崎side
幹部に組員が集まってそれぞれがするべき事を再確認した。
「デカいのは久しぶりやもんな。······楽しみ」
そう言ってニヤニヤ笑うのは、速水で。いつもと違う態度に空気がピリピリとする。
「俺、こういう時の速水怖くて嫌い」
「······そうか」
わざわざ俺に小声で伝えてきた相馬に適当に返事をする。
「だってさ、元に戻った時、あんまり覚えてないとか言うんだ。その場その場で集中しすぎて」
「へえ」
「······神崎、聞いてる?」
「聞いてる」
下らない会話をしていると、夏目が相馬の頭を叩いた。
「神崎の邪魔をするな」
「え、邪魔だった?ずっとボーって突っ立ってたから······」
2人の会話は聞こえていたけれど、無視をして、若から命令が降りるのを待つ。
「神崎、お前顔色悪い。何かあったら無理せず下がれよ」
「俺達が無理しないで、誰がやるんだよ」
夏目にかけられた言葉は有難いものだけれど、今は受け入れ難いものだった。
最悪、ここにいる人間の誰かが欠けるかもしれないんだ。そうわかっているから、無理をしてでも護りたい。
「······ごめん」
「別に」
異様な空気の中、夏目の携帯に連絡が入る。
「行くぞ」
そう言った夏目に、巫山戯ていた相馬でさえも、気持ちを引き締めて、さっきまでとは全く違う表情を見せた。
ともだちにシェアしよう!