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第107話 冴島side
志乃から電話があって、彩葉が重傷を負ったと言われた。
「何でだよ!どういう事だ!!」
「会ってから詳しく話す。兎に角負傷者が多いからお前はこっちに来てくれ。」
「今、彩葉の事を教えろよっ!」
真夜中に大声を出したから、梓君が「どうしたの······?」と部屋を覗いてきた。
「神崎は病院に送った。とにかく来てくれ。頼んだぞ」
それだけ一方的に話されて、電話が切れた。悔しくて悔しくて仕方なくて、携帯を握りながら唇を噛む。血の味がしても気にはならなかった。
「······梓君、ごめんね。呼ばれたから行ってくるね」
「うん······。気をつけてね」
力の入らなくなった手をぐっと握り拳にして、靴を履く。
「冴島さん、辛くなったなら、帰ってきたらいいと思う。冴島さんも人間なんだもん。無理しちゃダメだって、俺に言うでしょ?」
「······そう、だね」
「だから、無理しないで」
「うん、ありがとう。」
梓君からの優しい言葉に、状況は最悪でも自然と口角はあがる。
「留守番、しててね。志乃が帰ってくるのを待っててあげて」
「うん!行ってらっしゃい」
家を出て、そばでタクシーを拾い、志乃のいる場所に向かう。
車内では彩葉が無事なのか、どんな怪我をしたのか不安に思うばかりだった。
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