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第108話
前回も参加して知っていたけど、やっぱり怪我人は多くて、治療をして一段落した頃には暗かった空が明るくなり始めていた。
「──冴島」
「······志乃」
疲れて場所も気にせず地面に座っていると、志乃が来て俺の肩を叩く。
「本当に助かった。ありがとう」
「どういたしまして。······それより、彩葉は?」
ここに来てからも何やかんやお互いに忙しくて話を出来ていなかった。
「さっき連絡が来た。今は眠ってるらしい。」
「そう······。ねえ、何があったの」
「······俺はその場にいたわけじゃねえから、立岡に説明させる。けど······神崎が目の前で刺されたのがショックだったみたいでな」
成程。その時立岡と彩葉は一緒に居たのか。
「立岡はどこ」
「先に本家に帰った。」
「わかった。ねえ、処置も終えたし、俺も先に帰っていいかな?立岡とも話がしたい。それから彩葉の所に行くよ。」
「ああ。」
志乃に許可をもらって一足先にこの場を離れる。本家に行くとまだ慌ただしく組員達は動いていたけど、立岡の居場所を聞くと案内してくれた。
「立岡」
「······冴島か」
情報収集をする立岡の為にと与えられている部屋に立岡はいた。頭を抱えて項垂れている。
「彩葉のこと、教えて」
「······そこにあいつの父親がいるのがわかったんだ。だから、急いで神崎を逃がそうとした。でも······遅くて」
口元を手で覆って続きをゆっくりと話し出す。
「気付いたら、神崎が刺されてた。あいつの父親が、あいつを刺した。」
「······そう」
「ちゃんと、取り押さえて······。」
そこで話すことをやめた立岡。俺はだんだんと腹が立ってきて、音を立てて近付き胸倉を掴んで引き寄せた。
「お前しかいなかったから、彩葉を任せたんだっ!!」
「っ······」
「お前にしかできないって、わかってたから!!なのに······何で、何で護れないんだよ!!」
これはただの八つ当たりだ。
自分でも理解してる。
「ごめ、ん」
「······違う。お前だけのせいじゃない。俺も······俺も彩葉を······」
護るどころか、話すら聞けていない。
無理矢理聞き出せばよかったのかもしれない。
「彩葉の所行くよ」
「······うん」
「それからお前にはこれから働いてもらわないといけないから、もっとシャンとして。カラスの居場所を死んでも見つけだして」
「何する気だよ。」
「説教だよ」
立岡の腕を掴んで外に出る。
とりあえず今は、彩葉の元へ向おう。
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