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第123話

立岡が少し落ち着いてから、立岡の兄貴を探すことになった。 「俺が家族の話するのなんて珍しすぎるんだからね。話しちゃだめだよ」 「話さないよ。」 「······神崎は、俺に一切干渉しないんだ。俺はあいつのこと勝手に知ってるのに、それに怒りもしないんだよ。変だよね。」 「彩葉はいい意味で無関心なところがあるから」 そんな話をしていたけれど、1つ思い出したことがある。 「ねえ」 「何?」 「······この間はごめん。お前のこと、酷く言って」 「え?······ああ、ここに来た時ねえ。いいよ別に。お前は俺が神崎と関係を持つかもってこと懸念してたんだろうけど、それある意味間違ってなかったし。」 「は?」 謝ったばかりだけど、立岡の言葉に反応して低い声が出た。 「人間ってさぁ、楽で気持ちいい方に行きたいんだよ。俺もそう。神崎といると何も考えなくてよかったから、楽で好きだった。だからあわよくばってね」 「······最低だ」 「でも最近セフレは全員切ったよ。忙しくてそれどころじゃなかったしね」 「余計に彩葉が心配になった。セフレと切ったからって彩葉にいくなよ」 そう言うとケラケラと笑って、やっといつもの立岡に戻ったような気がする。 「向こうから来るなら、俺は歓迎だけどね、」 「······そうならないようにするよ。」 「うん、頑張って。······さてと、律の居場所を突き止めるかなぁ」 その作業は家でするらしい。 確かにここには立岡の仕事道具が揃っていない。 「何かあったら連絡するし、お前もしてきてね。志乃にはまだ言わないこと。神崎は?って聞かれたら、俺に捕まってるって言ってくれたらいいから」 「風邪で誤魔化せないかな」 「病院から抜け出したんだよ?」 「それはそうだけど······全部お前に背負わせるのは違う気がする」 「いいからそうしろ。神崎が無事でいてほしいならな」 そう言われたら断れなくて、素直に頷いた。 それを確認すると立岡は帰っていってしまって、また静かな部屋に独りになった。

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