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第125話

それを見た律は鼻で笑う。 「凱がお前を気にかける理由がわかった。お前達は似てるんだよ。愛されたいくせに、実際にそうされたら怖いんだ。」 「······立岡は俺とは違う。もっと複雑な理由があると思う。」 「無いさ。人は単純だから。ほら、得体の知れないものを食べるのは怖いだろ?それと同じ。愛されたことの無い人間が初めて愛に触れたら、感じるのは必ずしも幸せとは限らない。」 涙を拭い、律をじっと見る。 「立岡を助けられるのは誰だと思う」 「······凱は誰にも助けられないよ。」 「そんなことは無いだろ。きっとあいつは助けて欲しいって思ってる」 「お前の頭はお花畑だな」 呆れたようにそう言われてカチンとした。 こいつも、そう言えば立岡も秀も······年下のくせに俺に遠慮がない。別にそれはいいけれど、お花畑だとか言われたら、そりゃあ少し腹が立つ。 「年上は敬えよ」 「敬えるような人ならそうしてる」 「······いちいち腹が立つな」 そんな話をしていると、カラスが部屋からふらっと出てきた。 「ねえ、やっぱり思ったんだけど、神崎、お前帰らない?」 「何言ってんの。俺が連れてきたんだけど」 「だってさ、いつもならまだセックスしてるだろ。お前死んだように寝るじゃん。今日はまだピンピンしてるし、ってことは足りないんだろ?」 「······それはお前が絶倫なだけだろ。俺はもういいっていつも言ってる」 突然2人のそんな事情を聞かされて、どうしたらいいのかわからない。耳と目を塞いて、聞かないようにした。 「──なあってば!!神崎!」 「······うるせえな」 「帰れって!お前らの痴話喧嘩に俺らを巻き込んでこっちの空気を壊すなよ!最低野郎かお前は!」 「てめぇにだけは言われたくねえよ」 それは俺が言いたい台詞だ。最低野郎は誰に聞いても俺ではなくてカラスなはず。 「あーもう、律、弟に電話しろ。今すぐ下に降りろって言え。俺はこいつを連れて行くから」 「えー、もうちょっと話したかったんだけど。」 「いつでもできるだろ。早くこいつを帰らせて続きしねえと寝れねえよ」 「それこそいつでも出来ると思うけどねえ。」 カラスに腕を掴まれる。ヒョロいくせに思っていた以上に力が強い。 「逃げるとか考えるなよ。面倒事は御免だ。」 「······お前から始めたくせに」 「でももう終わっただろ。」 屁理屈ばかり言いやがる。 立岡の方がずっと真面目で努力家だと思うのに、どうしてこいつの方が腕が上で、立岡をああも苦しめるんだろう。 「お前、友達いないだろ。」 「そんな荷物は必要ない」 この冷たさが、そうさせているのたろうか。

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