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第131話
家に着いて夏目にベッドまで運ばれて、すぐ側に携帯が置かれた。
「何かあったら誰でもいいから連絡すること。わかった?」
「······わかった」
「熱あるし、冴島さん呼ぶ?」
「要らない」
それは遠慮して、夏目に礼を言って目を閉じる。
「体調良くなるまで休んで。無理はしないこと。消えたいって思ったら、話を聞かせて」
「······ありがとう」
「いいえ。じゃあね」
このまま眠れば治る気がする。
きっとこんなことになってるのは俺だけなんだろうな。情けない。
「ダメだ、寝よう」
どうしても考えてしまう。
いくら考えても答えは出ないのに。
この選択で間違ってなかったのかどうかなんて。
やめたいって言った時、秀は拒否をしなかった。だからこれで合ってるんだって思ったんだ。それが今になって揺れる。
強がって、俺より愛してくれる人がいるって言った。
もっと、縋り付いても良かったんじゃないか。
泣いて、喚いて、そうやって繋ぎ止める方法だってあったのかもしれない。
こんなに汚いけど、隣にいてほしいって。
同じものを返せないけど、本当は愛してほしいって。
「秀······」
いつも隣にいた熱が、今はもう無い。
それを改めて感じて、寂しくなった。
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