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第141話

飲めなかった酒を飲んで、床に崩れる。 ああもう、彩葉にあんな事を言わせてしまった自分が嫌だ。 証明するって言った。だからそうしたいのに、その術がない。彩葉だけだって、どうしたら証明できるんだ。 「······会いたい。ちゃんと話したい······。」 もどかしい。俺はこんなに想っているのに、それを伝えられないなんて。 やっぱり、彩葉の家に行った時帰らずにそのまま話をすればよかったのかもしれない。 どうすればいいんだ······。 そんなふうに思っていると、また立岡から連絡があった。 「何だよ」 「······助けて」 「は?」 いつもよりずっと深刻な声。様子がおかしいと思って「どうしたの?」と優しく聞いてみる。 「お前らが別れたの、俺のせいだから、お前にこんなこと頼むのはおかしいんだけど······。」 「え、何で別れたのが立岡のせいなの?」 「俺がもっと······もっと早く助けてたら、こんなことにはならなかっただろ。」 「立岡、会って話をしよう。今はどこにいるの?」 「······今からお前の家に行く。」 「うん、待ってるからね。すぐに来て、約束だよ。」 嫌な予感しかしない。まさか俺達が別れたことで立岡に影響しているとは思わなかった。でもそう考えてもおかしくはない。 あいつは人一倍努力家だ。兄とカラスって存在に負けないようにしていたのに、結局カラスに先を行かれた。その結果がこれだと結び付けない方が違和感がある。 「み、水······」 とにかく水を飲んで、頭をすっきりさせないと。 こうして頼られるのは初めてだ。それ程まで追い詰められているなら、支えてあげないと、立岡には、他に誰もいない。

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