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第145話

若に相馬とのことを伝えると、あっさりと了承してくれた。 部下を連れて夜の繁華街を歩く。 夜風が気持ちいい。暫く何事も無く足を動かしていると、ふらっと立岡が見えた。 ついつい気になって、その後を追う。着いた路地裏で立岡は1人の男と向かい合っていた。 話をしているようだが、内容は聞こえない。 「神崎さん、誰かいます。」 部下が小声で伝えてくる。指を指す方向を見ると、確かに誰かが立岡と男をビルの窓から見ていた。そして暗がりで見えにくかったけれど、その姿には確かに見覚えがあった。 「······カラス」 一瞬目が合って、ニヤッと笑ったカラスはそのまま姿を消した。追いかけるか悩んだけど、今は立岡の方が心配だ。 男と話が終わったのか、立岡はこちらに向かい歩いてきている。隠れるべきなのか悩んだけれど、そのままでいると驚いた表情をした立岡が目の前で止まった。 「······何してんの、お前。」 「見回り」 「······それで、俺を見かけたからついてきたの?······相手は信頼してる奴だから、ヘマしたりしないよ。心配してるなら余計なお世話だからね。」 「カラスがお前を見てた。」 そう言うと立岡は表情を歪めて、そのまま膝から崩れた。 「また······また、カラス······?」 「ああ、すぐに消えたけどな。」 同じように膝を折って目線を合わせる。カラスと律にある意味で執着してるから、カラスに自分が仕事をしているところを見られてショックなんだろう。 「立岡、送るから帰って休め。」 「······まただ。またあいつに······」 「立岡?聞いてるか?」 ばっと目が合って、"おかしい"と思った時には遅かった。 傾いてくる体。受け止めた途端、じんわりと伝わってくる熱は異様なくらい熱かった。

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