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第151話

貪るようにキスをした。 何度触れても、何度抱きしめても、そうできなかった期間を今すぐには埋められなくて、彩葉の頬を包み、至近距離で見つめ合う。 「っは、秀······っ、待て、苦しい······っ」 「ごめ、すごく······すごく、嬉しくて······」 安心したら、俺も自然と泣いていた。 大切なものが帰ってきた。こんなに好きで、愛していて、たまらなくなる。 「待って······ちょっと、落ち着け······っ」 胸元を押し返されて、それでやっと少し冷静になれた。涙を拭って、彩葉を抱きしめて目を閉じる。久しぶりに嗅いだ優しい匂い。 「彩葉······」 「うん、わかってるから······もう泣くな。」 彩葉の肩に額をつけると、髪を撫でられて、そのまま頭に彩葉の頭がコツっと当たった。 「秀、温かい。」 「あはは、俺も温かいよ。」 「······なあ、······好きって、言ってくれ。」 突然そう言われて、本当に驚いたのと同時に嬉しくなった。彩葉がそうやって言ってきたのは初めてだったから。 「大好きだ。愛してるよ。」 「······うん、俺も。愛してるよ。」 もう1度キスをして、見つめ合う。 「もっと触ってもいい······?」 「······ダメだ。それはまだ······怖い。」 確かに、配慮が足りなかった。 少しの間にたくさんの事があったんだ。 「ごめんね、そりゃあそうだよね。」 「いや、違うんだ。お前が汚れてしまうのが嫌だから、ちゃんと······うん。」 「······彩葉の気持ちが落ち着いたらでいいよ。大丈夫、気にしないでね。」 頬を撫でると、目を細めてそのまま優しい瞳で俺を見る。 「······もう1回」 「ん、」 またキスをして、お互いの体温を確かめあった。

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