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第157話
「冴島と付き合ってる。」
「へぇー。······ぶっ!?」
啜っていたラーメンを吹き出した夏目。汚いなと思いながらティッシュを渡すと、それを受け取ることもせず「嘘だろ?」と聞いてきた。まずは顔を拭いてくれ。
「汚い」
「あ、ご、ごめん!」
はっきりと言葉を伝えると急いで片付けて、それから真剣に俺を見る。
「いつから······?」
「その······俺が熱を出して秀が電話してきた時あたり。」
「し、しゅう!?名前を呼び捨てにしてるの!?」
「ああ、あの······話進まないから、ちょっと突っ込むのやめてくれ。」
「ほ、本当だ、ごめん!黙るね!」
それから、今まで起こったことを全て話した。
話の途中、夏目は表情を曇らせて、それから同情をするように俺を見たけれど、次第にその表情も薄れていった。
「だから、いつまでもこのままじゃダメだろ。俺は触りたいって思うし、秀だってそう思ってくれてるんだ。なのに応えられない。」
「······俺は、お前が汚いなんて思わないよ。冴島さんだってきっとそんなこと思ってない。」
「ああ。きっとそう思ってくれてる。でもどうしても汚いって思っちまって、どうしたらいいのか分からないんだ。」
ラーメンを食べ終えて、箸を置く。
夏目は難しい顔をしながら、「じゃあさ」と話し出す。
「今日一緒に飲みに行こう。たまにいっぱい酒飲んで、酔いまくって!恥ずかしいとかそんな感情忘れるくらいに。そしたら思ってること全部伝えられるかもしれないし、勢いで出来るかもよ。」
「······そんな楽に考えていいことなのか。」
「逆に難しく考えすぎてるのかも。」
夏目は優しく笑って、目を細める。
「ね、やってみて駄目だったら違う手段を考えよう。」
「······お前、本当良い奴だな。」
少しくらい引かれると思ってた。
それどころか真剣に考えてくれて、こうして解決策を一緒に考えてくれる。
結局、今日は夏目と夜飲みに行くことになって、緊張するけれど、少し楽しみでもあった。
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