157 / 188

第157話

「冴島と付き合ってる。」 「へぇー。······ぶっ!?」 啜っていたラーメンを吹き出した夏目。汚いなと思いながらティッシュを渡すと、それを受け取ることもせず「嘘だろ?」と聞いてきた。まずは顔を拭いてくれ。 「汚い」 「あ、ご、ごめん!」 はっきりと言葉を伝えると急いで片付けて、それから真剣に俺を見る。 「いつから······?」 「その······俺が熱を出して秀が電話してきた時あたり。」 「し、しゅう!?名前を呼び捨てにしてるの!?」 「ああ、あの······話進まないから、ちょっと突っ込むのやめてくれ。」 「ほ、本当だ、ごめん!黙るね!」 それから、今まで起こったことを全て話した。 話の途中、夏目は表情を曇らせて、それから同情をするように俺を見たけれど、次第にその表情も薄れていった。 「だから、いつまでもこのままじゃダメだろ。俺は触りたいって思うし、秀だってそう思ってくれてるんだ。なのに応えられない。」 「······俺は、お前が汚いなんて思わないよ。冴島さんだってきっとそんなこと思ってない。」 「ああ。きっとそう思ってくれてる。でもどうしても汚いって思っちまって、どうしたらいいのか分からないんだ。」 ラーメンを食べ終えて、箸を置く。 夏目は難しい顔をしながら、「じゃあさ」と話し出す。 「今日一緒に飲みに行こう。たまにいっぱい酒飲んで、酔いまくって!恥ずかしいとかそんな感情忘れるくらいに。そしたら思ってること全部伝えられるかもしれないし、勢いで出来るかもよ。」 「······そんな楽に考えていいことなのか。」 「逆に難しく考えすぎてるのかも。」 夏目は優しく笑って、目を細める。 「ね、やってみて駄目だったら違う手段を考えよう。」 「······お前、本当良い奴だな。」 少しくらい引かれると思ってた。 それどころか真剣に考えてくれて、こうして解決策を一緒に考えてくれる。 結局、今日は夏目と夜飲みに行くことになって、緊張するけれど、少し楽しみでもあった。

ともだちにシェアしよう!