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第158話 冴島side

何が起こったんだ。 夏目君が申し訳なさそうな顔をして「すみません、飲ませすぎました。」と言いながら、ぐでぐでに酔った彩葉の体を支えている。 「んー······しゅう、ただいまぁ······。」 「おかえり。······一体どれだけ飲んだの?」 「テキーラを何杯も飲んでましたね。」 「あらら。彩葉はお酒に強いけど、さすがにそれはこうなるね。」 夏目君から彩葉を預かる。体重を俺にかけて「秀」と何度も名前を呼んでくるのが可愛い。こんなの滅多にないから、この可愛いのをめいいっぱい楽しみたい。 「夏目君、送ってくれてありがとうね。上がってく?」 「いえいえ、神崎の事見ておいてあげてください。」 「うん。······あれ?何で君が彩葉を俺のところに?」 夏目君って、俺達が付き合ってること知っていたっけ。 「神崎から聞きました。俺も今日知ったんですよ。」 「そうなんだね。」 でもどうしてそんな話になったのかが気になる。けれど今は彩葉がぐでぐでになっているから、長話は出来そうにない。 「じゃあ、失礼します。明日の事は気にしないで下さい。若にも伝えておきますから!」 「ありがとう。気をつけて帰ってね。」 「はい!おやすみなさい!」 夏目君を見送って玄関を閉める。 さて、この酔っ払いはどうしようか。 「しゅぅ······座れ。」 「え、お説教でもされるの?」 「んー!早く、座れ!」 酔ったら口煩くなるタイプなのかな。リビングまで移動して言われた通り彩葉の隣に座る。 「沢山飲んだんだね。体しんどくない?」 「······話、聞け。」 「うん、聞くよ。何の話?」 酔って赤くなった頬。ビー玉みたいな綺麗な目。薄く開いた口からチロっと見える舌。今の彩葉は俺にとっては目の毒だ。 視線を逸らして、彩葉が話し出すのを待つ。 「······こっち、見てくれねえの······?」 「い、いや、だって君凄く······色気が······」 「あのな、俺、汚いんだ。」 「······何度も言ってるけど、そんな事ないよ。凄く綺麗だ。」 これは、真剣な話だなと思って、逸らしていた目を彩葉に向ける。 「こうやって酒の力借りないと、話せないし······。お前を汚してしまいそうで、怖くて、本当は触ってほしいのにそれが出来ない。」 「······触ってほしいの?」 「うん」 ずっと勘違いしていたみたいだ。 嫌な事を思い出すから触られたくないって。でも本当は俺に触って欲しかったみたい。 「それ聞いちゃったら、嫌だって言われてももう止められないよ。」 「······俺は嫌じゃない。怖いだけ。」 「これ、お許しが出たってことでいいよね?」 キスをすると、彩葉の方から舌を絡めてきて、その熱さに思わず笑っちゃう。 金髪に指を通して、がっしりと頭を逃げられないように押さえ付けた。

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