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第164話

お風呂から上がって彩葉をソファーに座らせ、俺はベッドを綺麗にして、それが終わってから朝ご飯を食べた。 「彩葉、明日は仕事なんだよね?」 「ああ。今日もそのつもりだったんだけどな。流石に動けない。」 「ごめんね、腰マッサージしようか?」 「要らない」 ソファーで横になって、眠たいのかそのまま目を閉じてしまう。 「寝ちゃうの?」 「······眠たい」 「ベッドで寝る?」 「······こっち来い」 近づくと手を取られて引っ張られる。 指先にキスされて体の熱がぶわっと上がった。 「彩葉······?」 「話したい事、いっぱいあるけど······眠い······。」 「じゃあ、起きたら話してくれる?」 「······忘れてるかも」 そう言うと体を起こして、隣に座るように腕を引かれた。 「立岡のこと、言うか悩んだけど······俺じゃどうにも出来ないから、話す。」 「立岡?」 何の話だろうと耳を傾ける。 眠たいせいか、ゆっくりと話し出した彩葉。 纏めると、立岡には律という双子の兄がいて、カラスと恋人のような関係らしい。 立岡や彩葉の情報をカラスに流していたのは律で、今までも立岡を傷付けるようなことを何度もしていたそうだ。 「でも、それは立岡が嫌いだからってわけじゃないんだ。」 「······どういうこと?」 立岡は母親に売られた。母親は情報屋で、自分の身の安全の為に立岡と律を捨てた。 2人は当初は同じように恨んでいたけれど、律は訳あって恨むのを辞めた。 でも立岡にはその恨みを忘れて欲しくなくて、母親が自分達にした裏切りを立岡にして、忘れないようにさせている。 「それで······今もそれをしてるって?」 「ああ。でも、この前立岡が倒れた日、その日は立岡が取引をしてたんだ。その様子をカラスが観察してた。何かあれば守れるようにって。」 「······敵なのか味方なのかわからないな。」 決して敵ではないんだろうけど、もし本当にそうだとしたら、どうしてカラスは彩葉をあんな目に遭わせたんだろう。そこだけはどうしても許せないから、もし会えるなら殴ってやりたい。

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