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第166話 神崎side
夕方頃になって、1回家に帰ることにした。何故か着いてくるとうるさい秀を助手席に乗せ、家まで帰る。
「今日は彩葉の家に泊まるんだ。」
「いいって言ってないけどな」
「でも泊めてくれるんでしょ?」
調子に乗り始めた。ちゃんと躾をしないといけないな。
とはいっても、俺の事を愛してくれているし、勿論俺もそうだし、だから強くは言えない。
「······今日だけ」
「えー?ねえ、ていうかもう一緒に住もうよ。」
「それは嫌だ。」
「はっ!?何で!前まで殆ど同棲してたじゃないか!」
「それとこれとは別。俺は極道だから、万が一の事を考えたら家は別の方がいい。」
そう言うと秀は黙って、でも何かを伝えたそうに何度も俺をチラチラと見てくる。
「何だよ」
「······ねえ本当に、辞めない?」
「仕事を?だから······俺は他に何も出来ないんだよ。」
「今すぐ何か新しい事をしろって言ってるんじゃないんだ。これから生きていく中で、新しい道も探してほしいなって。」
確かにそうした方が幸せな道を辿れるのかもしれない。
でも俺は周りに散々迷惑を掛けている。それに眞宮組は温かいから、あの場所から離れたいと思わない。
「······恩がある。そう簡単に辞めれない。」
「そう······」
「こう見えても幹部だからな。俺が辞めると残されたメンバーが大変だ。」
「うん、無理にとは言わない。ただ考えて欲しかっただけ。······ごめんね。」
そういう話をされると普通はウザったく感じるんだろうけど、俺は嬉しかった。
俺の為を思っての発言だってわかるから、できることなら今すぐ何もかもを手放して2人でどこかに行くのもいいと思う。
「彩葉、青だよ。」
「あ、うん。」
でも、そんな思い切った行動を取るには、なかなか勇気がいる。
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