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第169話
体を揺らされる。目を開けると「おはよう」って言いながら、俺の顔を覗き込む秀。
「······何時」
「朝の6時だよ。お風呂入りたいかなって思って。」
「······ん、ありがとう。」
だるい体を起こして、風呂場に向かう。
シャワーを浴びながら気付いた。そういえば着替え持ってくるのを忘れた。
「······いいか。」
どうせ何度も見られてる体だし、今更恥ずかしがるのもおかしい。
シャワーを終えてバスタオルで体を拭き、そのまま着替えを取りに寝室に向かう。その途中のリビングで秀に会って、秀が間抜けな面をしながら俺を見てくるから、首を傾げた。
「何だその顔」
「ふ、服は······?」
「忘れた。······おい、近づくな。」
「綺麗な体だね、本当。」
「変態オヤジみたい。」
すぐに寝室に行き服を着た。こんな朝から発情されたりでもしたら困る。
「彩葉、ご飯できたよ!」
「ああ」
服を着てリビングに戻ると、白米と味噌汁とサラダに卵焼きがあった。朝から沢山作ってくれたんだなぁと感謝しながら手を合わせる。
「いただきます」
「沢山食べてね!」
「······朝から作るの大変だっただろ。ありがとな。」
「ふふっ、こちらこそありがとう。」
何に対してありがとうって言われたのかわからない。でも秀がにこにこと満足そうに笑っているからいいか。
食事を終えて準備を整える。
「ねえ、今日もここにいていい······?」
「いいけど、何もねえだろ。」
「ううん。······いってらっしゃい!」
「ああ、いってきます。」
家を出て、いつもより清々しい気持ちで本家に向かう。
まずは夏目に礼を言って、それから今日の仕事は······。
考えていると本家に着いて、まだふわふわとしていた気持ちをキュッと引き締めた。
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