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第174話

家に帰ると秀の靴があって、「ただいま」と言いながらリビングに行くと、秀はソファーで気持ちよさそうに眠っていた。 「······風邪ひくぞ」 寝室から掛け布団を持ってきて、そっと掛けてやる。 時間は午後5時。家に食材はあったっけ?もし無いなら今から買い物に行かないと、晩飯に間に合わない。 冷蔵庫を確認しようとキッチンに行けば、もう既に晩飯がそこにあった。 いつもこんな早く作ってたっけ。俺の焦りが無駄になった。 リビングに戻り、椅子に座りながら煙草を吸って時間を潰す。 「ん······んー······っ!」 秀が目を覚ましたようで、伸びをしてから体を起こし、俺がいることに驚いてソファーから落ちそうになっていた。 「おはよう」 「お、おはよう!?おかえり!ごめんね寝てて······。」 「いや、別にいいけど、ちゃんと布団は被って寝ろ。風邪ひく」 「あ、ああこれ、ありがとう。」 布団を畳み、すぐに俺のところに来た秀。 そうだ、話さないといけないことがある。 「なあ」と声をかけると、同じタイミングで「ねえ」と言われ、お互いに口を閉じた。 「······何。先に話して」 「あ、え······彩葉、何か怒ってる······?」 「怒ってないから、先に話せ。」 いやでも、少しイライラする。 気持ちが焦ってるのか、なんなのかよくわからないけど。 「今日······志乃の家に行ってきたんだ。」 「······夏目に聞いた。若の家で会ったって。」 「······君の、仕事のことについて話してた。」 予想していた通りだ。だから呆れて溜息が漏れた。

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