181 / 188
第181話
事を終えてベッドで裸のまま寝転がる彩葉。後ろから抱きしめて項にキスをする。
「ん······」
「彩葉」
「何。もう疲れた」
「あのね、俺の話聞いてくれないかな。」
そう言うと体をくるっと反転させて、俺の顔を見る。そのまま彩葉には珍しく触れるだけのキスをして「聞く」と言ってくれた。
「彩葉は必要だよ。」
「······それはお前がだろ。」
「違う。志乃も、眞宮組の皆もだ。君が居なくなるのは惜しい。でも皆彩葉の幸せを願ってくれてるから、居なくなることを認めてくれてるんだよ。」
そう言うと彩葉が俺の方に体を寄せてくる。そのまま抱きつかれてドキッとした。
「もういい。お前が俺を必要とするなら、それだけでいい。あとはもう知らない」
「そっ、それは······それは、どうだろう?」
「だって、もう傷つきたくないんだ。本当は誰が俺を必要としてるのか、そんなのもういい。お前がいれば充分だ。」
両手で顔を覆いたくなる。
なんて可愛いんだ。俺がいれば充分だなんて、嬉しくて堪らない言葉だ。
だけどそれだけじゃいけないのはわかってる。俺も、きっと彩葉自身も。
「だめだよ。ちゃんと周りに目を向けて、耳を傾けて。」
「······今の俺の一世一代の告白をなんだと思ってる。」
「嬉しくて堪らないけど、それだけじゃダメって彩葉もわかってるでしょ?」
そう言うと彩葉が顔を上げてムスッとした表情をした。
今日はどうやら心が素直らしい。彩葉の考えていることが表情を見てすぐに分かる。
「怒らないで。俺のお願い聞いて?」
「······仕方ないな」
「ありがとう。志乃も皆も、彩葉に傷ついて欲しくないんだよ。」
「······わかってる。俺がまだ少し迷ってたから、止めて欲しいって思っただけだ。」
素直な彩葉も可愛い。
キスをすると目を細めて「もう一回」と強請ってくる。
「ちゃんと全部理解出来た?」
「うん」
「そう。ならご褒美のキスがいるね」
「早くしろ」
目を閉じた彩葉の唇に、自らのそれを重ねた。
ともだちにシェアしよう!