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第2-2話

「お前まじで入ってくんなよ」 「な……」 「わざわざ窓開けといてやったんだよ。お前尾行下手すぎ。てか不審者すぎて目立つっての」  特に怒っているわけでもなさそうだが、腕は決して離さなかった。力が強すぎて振りほどけない。正面突破は無理だと見た瞬間に諦めてはいたが、やはり陸夫には力で勝てそうになかった。 「お前さあ」  ふうとため息をついて、しかし、陸夫はへらへら笑った。 「羽とツノ生えてるのに、普通に窓から侵入してくるんだな。なんかこう、壁通り抜けたりしないの?」  軽く震えながら、一郎は息をつめた。怖くて声が出ない。 「お前が欲しいのはこれだろ?」  枕元に置いてあった、取れてしまった一郎のツノを掴む。びくりと体をこわばらせて、一郎は陸夫に掴まれていないもう片方の手でそれを奪おうとした。しかしあっさりかわされる。 「お前何だよ。羽生えてるんだから、人間じゃないよな?」 「……コスプレだよ」 「嘘つくなよ」 「……悪魔だ」  一郎の言葉に、陸夫はぶはっとふきだした。 「悪魔! それこそ何で、窓から入ってくるんだよ」  ぎゃはは、と声を上げて笑う。 一郎は何も言えず立ちすくんでいた。  悪魔であっても、一郎は飛ぶこと以外、超常的なことは何もできない。陸夫のイメージとは違って当然だ。あんなものは人間の勝手な妄想だ。  陸夫がぐにぐにとツノを押すと、しっかりした弾力が彼の手に返ってきた。 「なんだこれ。ゴムのボールみたい」  ツノがゴムって、と散々笑い倒し、もう一度ぐにっと手で握ると、一郎の体が跳ねた。  陸夫が笑うのをやめ、部屋がしんとする。ぎゅっとさらにツノを握ると、また一郎の体がびくりと動いた。 「へえ」  口の端をつり上げて陸夫が笑う。 「もしかしてこれ、気持ちいいの?」  ぶんぶんと頭を振る一郎を見ながら、陸夫はぺろりとツノを舐めた。  がたんと音を立てて、一郎がうずくまる。足をぴたりと閉じて、太ももを両手で押さえつけていた。  ふるふると震えながら眼のふちと頬を赤く染め、ぎゅっと下を向いている。陸夫は一郎の両脇に手を差し入れて、ぐいと持ち上げるとベッドの上に座らせた。恐ろしい腕力だ。ぐっと膝を割って閉じられないように体を押し入れる。 「あら、勃っちゃうんだ」  うひゃひゃと笑うと、ぐいと股間を撫で上げた。一郎は体を震わせる。もう一度、陸夫はぺろりとツノを舐めた。  声にならない悲鳴を上げて、一郎は前かがみになって表情が見えないように深く俯いた。陸夫は一郎の体を押すと、ズボンと下着を一気に引き抜き、自分も服を脱ぎ捨てる。激しく主張する程ではないが、引き締まった体にしっかりと筋肉がついていた。 「んふ。勃起はするけど触らなきゃイケないわけね。しかも結構でかいな。久しぶりだからラッキー」 「準備しといてよかった」と言いながら、ローションを手に取って自分の後ろをほぐし始める。頬を上気させ歪んだ笑みを浮かべ、逃げようとする一郎を押さえつけた。じたばたともがく一郎は弱々しい。体に体重をかけられ、シーツを蹴る足が何度も空振りする。一郎は涙をにじませ青ざめた顔で震えながら陸夫を見上げていた。膝を一郎の腹に乗せ押さえつけると、彼のモノにゴムをつける。陸夫は一郎を大きく跨いで自身の後ろに押し付けた。 「じゃあいっただっきまーす」 「や、やめろ」  陸夫の体をぐいぐいと押すが、びくともしない。ゆっくりと腰を落とされて、びくりと体を震わせた。 「あん? お前童貞?」 「ち、違う!」 「とかなんとか言っちゃって、余裕無さそうだけど? うはは。初めていただいちゃいましたー」  ぐぐぐとさらに腰を落としてくる。陸夫は少し息を詰めて、眉間にしわを刻んだ。 「いってぇ、ちょっとでかすぎ」  はあ、と甘いため息をついて、とうとう全部中に入れてしまう。満足げに一郎を見下ろすと、陸夫は彼の腹を撫でた。  と、中に熱いほとばしりを感じる。一郎が悲鳴を上げた。 「まじか。入っただけだぞ」 陸夫の言葉に、一郎は羞恥で顔を真っ赤にする。目をきつく閉じて、震える腕で陸夫の体を押した。 「やめ……」  しかし陸夫は、あーあ、と言いながらずるりと一郎のものを引き抜くと、べろりとツノを舐める。すぐに起き上がったそれにゴムをつけ直すと、陸夫は薄く笑ってまた一郎の上にまたがった。 「もういっかーい」  ぐっと一郎のものを中に沈めこむ。一郎はぶんぶんと頭を振った。 「無理、無理だって!」 「ほら、我慢しろよ。俺イカねえと終わんねえぞ」  ゆるゆると腰を上下させながら、陸夫が一郎の腹を押す。一郎は頭をふりながら、小さな声でうめいた。 「も、出る、もったいない」 「もったいない? よくわかんねーけど、もったいないなら我慢しろよ。もうちょっと頑張って、ねっ、と」  ずるりとぎりぎりまで引き抜いてから思い切り腰を落とす。陸夫が顔を上向かせ甘いため息をこぼすと同時に、再び一郎は体をのけぞらせ、自身の精を吐き出した。 「うぉい! はえーって言ってるだろ。ちょっとは我慢しろよ」  陸夫は動きを止めて、すぐに達してしまう一郎を軽く睨む。彼の腹をなでさすりながら、ううん、と唸った。  そして、にやりと唇の端を持ち上げる。 「これ噛んだらどうなるんだ?」 「やめろ!」  悲鳴のような一郎の声を無視して、がりっとツノの先の方を軽く噛んだ。 「いぎっ」  一郎はびくりと体を跳ねさせて、一瞬白目をむいたかと思えば、そのままどさりと頭をベッドに落とし、ぴくりとも動かなくなった。 「あれ、飛んじゃった」  はああ、と深いため息をつきながら、陸夫は一郎の上から降りる。しょうがねーなと言いながらタオルを取ってきて、一郎の体を撫でるように拭いた。ベッドに寝かせ直すと、布団をかける。  そして、がりがりと頭をかきながら、風呂場へと入っていった。

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